本物のハード・ロックの特徴
1.テンポがずっしりと遅い
2.ギターの歪みはそこまで激しくない
3.気迫のある重厚なヴォーカル
4.しみじみとしたメロディ
5.長ったらしくて渋いソロ演奏
6.サイケデリックな浮遊感
 ”ハード・ロック”という言葉は今、安易に使われすぎている傾向がある。しかし、”ハード・ロック”という言葉を使っている人のほとんどは、ハード・ロックの本当の意味を知らない。そこで、このページでは、本当の”ハード・ロック・アルバム”だけを選んだ。
 俺のこだわりの15枚である。
ウィッシュボーン・アッシュ ウィッシュボーン・アッシュ(英)
「百眼の巨人アーガス」


 俺はブリティッシュ・ロックが大好きだが、彼らは英国のノーブルな雰囲気を匂わせる独特の演奏を聴かせる。だから当時は”最も美しい英国ロック”との評価も受けていた。ツイン・リード・ギターがたまらん。ぞくぞくする。
ジェスロ・タル ジェスロ・タル(英)
「日曜日の印象」


 フルートをロックに初めて導入したハード・ロック・バンド、ジェスロ・タルのデビュー作である。この頃からプログレッシブ・ロック的な味も感じ取ることができ、荘厳なロックを堪能できる。演奏もメンバー皆気合い十分。ちなみに、彼らはこの作品を発表後、人気投票でビートルズに次ぐ第二位に選ばれた。
エレクトリック・レディランド ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス(米)
「エレクトリック・レディランド」


 奇跡の名盤。あらゆるミュージシャンが崇拝している伝説のギタリスト・ジミ・ヘンドリックス(27歳の若さで他界)の、神懸かりといえる流れるような左手の演奏パフォーマンスを堪能できる、ビッグ・アルバム。サイケデリックでエキサイティングな三次元音楽を聴いて、君もトリップしようぜ。この中の一曲「ブードゥ・チャイル」は最強!
ファイアー・アンド・ウォーター フリー(英)
「ファイアー・アンド・ウォーター」


 ポール・ロジャースという名前を聞いたことがあるか? ミュージシャンが選ぶ、「あなたの尊敬するシンガー」で、ジョン・レノンに次いで、第2位に選ばれたのが彼である。彼のバンドがフリーだ。実に計算され尽くした、英国らしい正統派ハード・ロック・バンドである。ロック・スピリッツを彼らから学んでほしい。
ナンタケット・スレイライド マウンテン(米)
「ナンタケット・スレイライド」


 ハードロックにクラシックとジャズの要素を混ぜ込み、ワイルドかつ美しい音楽を展開させている。巨漢ギタリストの手抜きを許さない名演奏もなかなかだが、「白鯨」をテーマにしたタイトル曲は、それこそ圧巻である。ハードロック・ビートルズとでもいいたい。
レッド・ツェッペリンII レッド・ツェッペリン(英)
「レッド・ツェッペリンII」


 レッド・ツェッペリンの代表作。代表的な歌が色々聴ける。
 彼らもまたブルースを基盤としたバンドだったので、重厚な演奏を尊重しており、ハード・ロックの代名詞として、そのジャンルの成長を担った。感傷的な曲「サンキュー」は個人的に好きだなぁ。
オール・シングス・マスト・パス ジョージ・ハリソン(英)
「オール・シングス・マスト・パス」


 ジョージ才能爆発。ビートルズ時代はプレッシャーに圧迫されていた感じがあったが、その間こつこつと新曲を書きためていて、この3枚組LPで一挙に吐き出した。それはビートルズ・サウンドに裏打ちされた、音楽のキャンプファイヤーだった。というわけで、ジョージは、ビートルズの中でソロとして最も目覚ましい成功を収めたのである。
はっぴいえんど はっぴいえんど(日)
「ゆでめん」


 突然邦楽でごめん。でも、凄いんだよこれ。燃えるような野心感じるんだよね。これで日本語ロックが確立されたっていってもいいんじゃないかな。かなり洋楽をお手本にしているようで、ギターはハードロック風。細野さんのベースはポール・マッカートニー的。アコースティックな曲は、クロスビー・スティルス&ナッシュにも似てるなぁ。
レイナード・スキナード レイナード・スキナード(米)
「セカンド・ヘルピング」


 ハード・ロックの醍醐味はやはりリード・ギター。レイナード・スキナードにはなんと3人のリード・ギタリストがいた。サザン・ロックといわれた彼らの泥臭いサウンドは、ハード・ロックの聖典でもある。ちなみにプロデュースはあのアル・クーパーだ。
クリーム クリーム(英)
「クリームの素晴らしき世界」


 ハード・ロックの名盤中の名盤。ロック史上では、最初のハード・ロック・バンドとして、クリームの名前が記録されている。ハード・ロックの醍醐味はソロの生演奏にあるのだが、ジャズを真似ての交替交替のソロ演奏のスタイルは、その後のハード・ロックの基盤を築いた。ブルースの名曲をジャムった「スプーンフル」は必聴。
ジョン・リー・フッカー ジョン・リー・フッカー(米)
「レジェンドリー・モダン・レコード」


 ブルースとハード・ロックはほとんど同義語。マディ・ウォーターズも好きだけど、渋目のジョン・リー・フッカーに軍配を上げたい。エレキギター一本でブルースを聴かせる、このずっしりとした気迫と落ち着き。シンプルでいてこの重厚さは、ブルースだけの特権だ。ギター・テクニックもロッカーのハートをくすぐる。
ヴァニラ・ファッジ ヴァニラ・ファッジ(米)
「キープ・ミー・ハンギング・オン」


 ショッキング。カバー曲が多いが、自分の音楽として見事に改造し、恐ろしいくらい盛り上がっている。オルガンをフィーチャーしたところが異色だが、そこがサイケデリックかつヘビーで、それでいてクラシカル。だから当時は「アート・ロック」と言われていた。
いとしのレイラ デレク・アンド・ドミノズ(英)
「いとしのレイラ」


 エリック・クラプトンがオールマン・ブラザーズ・バンド(これまたすげえバンド)のデュアン・オールマンとツイン・プレイを披露する名盤中の名盤。気合いで最後まで聴いてしまう勢いと迫力がある。タイトル曲「いとしのレイラ」のクラプトン、かなり燃えてます。
ラヴィ・シャンカール ラヴィ・シャンカール(英)
「サウンズ・オブ・インディア」


 ロック・ミュージシャンに多大なる影響を与えた、インド最高のシタール奏者。映画音楽も「大地のうた」、「ガンジー」などを手掛けている。一番の影響はやはりビートルズ。ラヴィもビートルズのお陰で、世界的に名を馳せることになった。このアルバムは純粋にシタールを楽しむにはもってこいのお薦め。
ユーライア・ヒープ ユーライア・ヒープ(英)
「対自核」


 美しい。ブリティッシュ・ロックの伝統をそのままハード・ロックへと転化させた、英国様式をぷんぷん匂わせるバンドだ。コーラスもギターもキーボードも、美の表現に相応しい。実力は十分なはずだが、ディープ・パープルなどと比べると、どうしてか無名である。


←BACK