ロック・アルバム

アビイ・ロード ビートルズ(英)
「アビイ・ロード」
 一番はやっぱりこれだろう。ビートルズのラスト・アルバムであり、彼らのLPの中では最も売れた作品であり、ファンの間では最も人気の高い一枚だ。僕にとっても永遠にベストである。楽曲はどれも印象的だが、何と言っても曲間の流れが美しく、またそれぞれの曲がお互いにひきたてあって、至高のアルバム芸術を聴かせてくれる。ジョンが「アイ・ウォント・ユー」、ポールが「オー・ダーリン!」、ジョージが「サムシング」、リンゴが「オクトパス・ガーデン」でそれぞれ自分の個性を爆発させている点も興味深い。
フリートウッド・マック(英)
「噂」
 70年代最高のロック・アルバムと言われた作品だが、いやその言葉に何偽りなし。「オウン・ウェイ」はじめ、素晴らしい名曲だらけ。もとブルース・バンドとは思えないノリで、一般ピープルにもわかりやすく、全米で32週連続1位というオバケ記録を打ち立てた。今でも欧米ではファストフードでよく流される。男女両ボーカルバランスとれていて、演奏もメロディも◎。
ボブ・ディラン ボブ・ディラン(米)
「フリーホイーリン」

 後にエレキに手を染めるディランが、まだフォーク・ギターとハーモニカだけでロックを聴かせていたころの名盤。「風に吹かれて」他、優れたプロテスト・ソングがいっぱい。
キンクス キンクス(英)
「ローラ対パワーマン・・・」
 ローリング・ストーンズに比べて、過小評価されているキンクスだが、実はキンクスもストーンズと同じく、63年にデビューして以来、一度も活動を休止することなく、いつまでもがんばり続けている最古参バンドである。彼らはアルバムをひとまとまりの芸術として扱うことに誇りを持っていた時期があって、コンセプト・アルバムを多数発表していたが、これはその中でも一番の傑作。印象深い楽曲で沢山。
ビーチ・ボーイズ ビーチ・ボーイズ(米)
「ペット・サウンズ」

 アメリカン・ロックの最高傑作といっても間違いのない大古典である。素晴らしいの一言しか言えない。ただただそのマジック・サウンドに聞き入るばかり。英国産ロックとはまるで対比的。コレを聞かなきゃ、アメリカン・ロックは語れない。
マーヴィン・ゲイ(米)
「ホワッツ・ゴーイング・オン」

 R&Bの名盤中の名盤。この完成度は言葉で言い表せない。これがR&Bなのか?と思わせるほど、そのサウンドは他にはないものだ。美しく、デリケートで、とってもダンディ。かっこよすぎる。ロックというカテゴリーに入れるのはどうかとも思うが、ある種超越してしまった内容なので、それもよしかと。
シカゴ シカゴ(米)
「シカゴの軌道」

 後にA.O.R.バンドになってしまうシカゴだが、デビュー当初はブラス・サウンドをヘビーなロック・サウンドと融合させた、偉大なサイケデリック・ハード・ロック・バンドであった。このアルバムはシカゴの処女作であるが、何といきなりの2枚組だったのだ。多彩なメンバーによる、ボリュームたっぷりのミュージック・ショーが楽しめる豪華版だ。
リトル・フィート(米)
「ディキシー・チキン」

 いいんだな。これが。ローウェル・ジョージののろっちいスライドギターはとにかく聴かせる。激しいロックというわけじゃないけど、この落ち着きが、ロックの神髄とは何かを再確認させられる。あまりにも泥臭すぎて最初は良さがわからなかったけど、聴けば聴くほど病み付きになってしまった。ニューオーリンズっぽい味わいもまたよろしい。今ひとつ一般人受けしていないのが惜しい。
モンキーズ モンキーズ(米)
「恋の終列車」

 演奏は全てセッション。作曲もほとんどプロに任せていて、メンバーのうちの何人かは全く目立っていない。つまり、自作を自分で演奏することで個性を発揮することをロックというならば、彼らは正式にはロック・バンドではないということになるが、ノリはかなり様になっていて、この手の偽物バンドとしては奇跡的な出来映えだ。メロディも一度聴いたら病みつきになる。
ディープ・パープル ディープ・パープル(英)
「詩人タリエシンの世界」

 僕は個人的に、ヘビー・メタル的な第二期ディープ・パープルよりも、アート・ロック的な第一期ディープ・パープルの方が味わい深くて好きである。エコーのかかったヴォーカルと、クラシカルなキーボードの演奏、その他が美しい印象を与える。ビートルズとベートーベンをハード・ロックの世界で表現してしまった曲「恋を抱きしめよう」は必聴だ。
J・ガイルズ・バンド(米)
「悪夢とビニール・ジャングル」

 音楽ってのは聞いていて楽しいものだ。みんなで歌って楽しんで。音楽の原点ってのはそこから来てるんじゃないかな。そんな原点を思わせるバンドがJ・ガイルズ・バンド。もうとにかく楽しい。メロディも楽しい。演奏も楽しい。ボーカル(ピーター・ウルフ)も楽しい。野性的で、それでいてシンプルなのか複雑なのかよくわからないままとにかくノリの乗せられてしまう勢いたっぷりの音楽。ジャンルを言うならファンキー・ロックってな感じ。
Tレックス T・レックス(英)
「スライダー」

 グラム・ロックの作品としてはたぶん最高傑作なんじゃないか。何とも言えない癖になりそうなノリがある。演奏の仕方も、シャウトの仕方も他のロック・ミュージシャンとは全く異なるタイプだ。

 12本だけにしぼったけど、選ぶのがかなり難しかった。

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