ロック界では、ソロ名義でアルバムを出しているアーチストがいる。俺は基本的にバンド派だから、ソロと聞くだけでどうでもよくなってくる。
 なんでバンドが好きなのかというと、演奏を聴く楽しみがあるから。好きなギタリスト、ベーシスト、ドラマーの演奏を聴くのがロックの醍醐味なのに、ソロ・アーチストたちは、その楽しみを見事に奪ってしまった。しかもソロといっておきながら、結局はセッション・ミュージシャンの助けを借りているではないか。だからソロは嫌なんだ。
 だが、ソロ・アーチストの中でも、素晴らしいアルバムを残したロッカーたちが何人かいる。
 ここでは、ロック界で成功を収めた人たちの中から、選りすぐりのロック・ミュージシャン20名をピックアップした。聞き所は、歌手としての感性と、作曲家としてのセンスである。

ソロ・ロック・ミュージシャン個性派20選
マイケル・ジャクソン(歌・作曲・ダンス)
「スリラー」
 ド偉いアーチストですな。もうこの人そのものが伝説。ソウルだけに限らず、ポップ、ロックと幅広く活躍。「スリラー」のミュージック・クリップはそれまでの概念を覆す革新作だった。以来、マイケルで一番楽しみなのはなんつってもクリップである。
イマジン ジョン・レノン(歌・作曲・ピアノ)
「イマジン」
 僕がビートルズの「アビイ・ロード」の次に気に入っているアルバムだ。ジョンは天才である。感性が違う。「イマジン」や「ジェラス・ガイ」の素晴らしさ! ポールを皮肉った曲もある。楽曲の数々は、オルタナティブ・ミュージックを20年も先取りしている。
 なお、このアルバムのリードギターといえるリードギターはジョージ・ハリソンが演奏している。
JB ジェームズ・ブラウン(歌)
「ライブ・アット・アポロ」
 最も色々なミュージシャンに影響を与えたダンサーである。ファンク・ミュージックの第一人者で、ライブはとにかく熱い。俺もこの人のライブだけは生で見たいと夢見ている。このノリ、最高だぜ。
エルビス・プレスリー エルビス・プレスリー(歌)
「ベスト」
 ご存じ、ロックン・ロールの王様。最高にセクシーな腰。この人の時代は、シングルの時代で、アルバムもシングル曲の集まりみたいなものだったから、プレスリーはベストで聴く方が親しみがある。甘い声が最高なんだよなぁ。「ラブ・ミー・テンダー」、「好きにならずにいられない」、「アメリカの祈り」、そして「ハートブレイク・ホテル」。じーんときちゃうぜ。
ビリー・ホリデイ ビリー・ホリデイ(歌)
「奇妙な果実」
 恐ろしくなるくらいマイペースなジャズ・シンガーである。少なからず、ロック・ミュージシャンに影響を与えていると思える。歌はスピリッツだと教えてくれる。彼女の歌は、どこか生命の息吹を感じさせる。魔法のようだ。
 オーバードラッグで他界しているところもロッカーと共通する。
ベートーベン ルートヴィヒ・ベートーベン(作曲)
「田園」
 出たぁ! 19世紀以前の最高のロック・ミュージシャン!
 耳が聞こえないのに、素晴らしい楽曲を沢山残した。中でも僕は「田園」がお気に入り。
 クラシック音楽って、どう考えても、ポップよりロックに近いね。
ムーンダンス ヴァン・モリスン(歌・作曲)
「ムーンダンス」
 この人は独特。なんちゅう声で歌うんだろう。「ラーラーララー」って、ノリもいい。歌が特別上手いわけじゃないけど、不思議と引き込まれるんだよね。ジャンルもゴッタ煮という感じ。エンヤもだけど、この人には形容しがたい魅力があります。「ムーンダンス」はモリスンの入門アルバムだね。
ウディ・ガスリー ウディ・ガスリー(歌・作曲・ギター)
「コロンビア・リバー・コレクション」
 フォーク・シンガーの鑑。
 この人こそ、本当の意味でソロ・シンガーである。
 キャンプしながら聴きたいねぇ。
エルトン・ジョン エルトン・ジョン(歌・作曲・ピアノ)
「黄色いレンガ道」
 最も成功したソロ・アーチスト。最近もダイアナ妃の歌で一般人の間にも名前が広まったけど、あの曲って本当はマリリン・モンローの曲なんだよね。その曲が入ったアルバムがこれ。バラエティ豊か、ボリュームたっぷりの最高傑作。
そよ風の誘惑 オリビア・ニュートン・ジョン(歌)
「そよ風の誘惑」
 最も成功した女性ソロ・ロック・ミュージシャン。とはいっても、カントリー時代のオリビアの方が、僕は好きだった。ほんと、美しい声で歌ってくれます。僕の憧れでした。今はずいぶんと人気が落ちましたねぇ。いけいけ姉ちゃんになってから、僕も引いたからなぁ。オリビアは純粋なイメージの方が良かった。「愛の告白」、最高だねぇ。
夜のストレンジャー フランク・シナトラ(歌)
「夜のストレンジャー」
 グラミー賞を最も沢山受賞した歌手である。いわゆるポップ・ミュージシャンだが、ロック・ミュージシャンの曲を多数カバーしているし、ロック・ミュージシャンにインスピレーションを与えたということで、シナトラも立派なロッカー。「TIME」が選出した、「20世紀最高の歌手」にも選ばれている。映画俳優としてもグー。
ジェフ・ベック ジェフ・ベック(ギター)
「ブロウ・バイ・ブロウ」
 ジェフ・ベックはほんと”ギターリスト”だった。ギターしかこいつにはないって感じだ。こいつからギターを奪ったら後は何が残る? 映画「欲望」だったかな、それに特別出演してたけど、ギターをぶっこわす役だった。
 このアルバムは、ギターの本質を知る上ではマストな一枚。ビートルズのジョージ・マーティンがプロデュースしたインストゥルメンタル・フュージョンである。
ジギー・スターダスト デビッド・ボウイ(歌・作曲・ギター)
「ジギー・スターダスト」
 グラム・ロック・ミュージシャンはどれもそうだけど、なんか第六感に凄く訴えかけるんだよね。メロディそのものに恐れを感じちゃうほど。どうやったらこういう曲が作れるんだろうって思う。
 デビッド・ボウイはうちの姉ちゃんも大ファンだった。どうやらその世代では大スターだったらしい。彼の作る曲はどれも”異色”だね。凄いよ。
プリンス プリンス&レボリューション(歌・作曲・ギター)
「パープル・レイン」
 ソロとはいえないか。レボリューションというグループ名があるからね。でもいいや、のせちゃえ。
 映画のサントラだけど、名曲揃い。感度の大作といいたいタイトル曲は、一度は聴く価値あり。ブラック・ロックの極めつけ。
 この作品以来、プリンスには紫のイメージがまとわりつく・・・。
トム・ウェイツ トム・ウェイツ(歌・作曲・ピアノ)
「レイン・ドッグ」
 まるで映画を見ているような心地になる絶品アルバム。短くてユニークな曲を集めて缶詰した作品だけど、かなりインスピレーション与えるぞ。トム・ウェイツ、天才だぜ。
 でも、癖が強いから、好き嫌い分かれそう・・・。
ティナ・ターナー ティナ・ターナー(歌)
「ティナ」
 豪快な歌声は、僕らを何が何でもノリノリにさせる。
 知識人にも認められ、左の作品でグラミー賞を受賞。彼女の歌は、ソウルではなく、迫力満点のロック。
 女でもロックができるんだぞって証明したんだね。
ゴースト・オブ・トム・ジョード ブルース・スプリングスティーン(歌・作曲・ギター)
「ゴースト・オブ・トム・ジョード」
 意外な作品である。ブルース・スプリングスティーンといえば、ブラスサウンドが入ったノリノリのアメリカぁな曲で人気があるけど、この作品は一転してしみじみとしたフォーク・ロックを聴かせる。アルバム全体を通して聴くと、感動で胸がじーん・・・。素晴らしいの一言だね。彼の隠れた名盤だ。
シェリル・クロウ シェリル・クロウ(歌・作曲・ギター)
「グローブ・セッション」
 僕が一番応援しているソングライター。ライブ活動も積極的にこなしている女性ロック・シンガーだ。左の作品は3枚目だが、1枚1枚全然スタイルが異なるところにびっくり。作品ごとにレベルが高くなっている。ローリング・ストーンズ系の、癖になる音楽といえる。
ハーベスト ニール・ヤング(歌・作曲・ギター)
「ハーベスト」
 こいつほど歌が下手なロック歌手もいまい。でも、ロックに歌の上手い下手はまったく関係ないからね。マイペースでやりゃいいんだよ。感性があればいいんだよ。人を感動させればいいんだよ。そのスピリッツを知りたければ、ニール・ヤングだ。俺は「アフター・ザ・ゴールドラッシュ」が好きだが、初心者には「ハーベスト」がお薦め。
ハリー・ニルソン ハリー・ニルソン(歌・作曲)
「ハリー・ニルソンの肖像」
 この人は「真夜中のカーボーイ」の主題歌や、バッドフィンガーのカバー曲「ウィズアウト・ユー」で有名だけど、ジョン・レノンにも気に入られて、実は結構やり手。左のアルバムを聴いていても、なかなか個性的なロック魂を感じ取ることができる。


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