アメリカン・イディオット
American Idiot
2004
Green Day

 グリーン・デイはいわゆるメロコアの第一人者である。メロコアってなんぞや?ときたら、それは平たく言えばメロディ重視のパンクである。例えばオフスプリングも僕の大好きなメロコア・バンドだが、今回のグリーン・デイの4年ぶりの新作はそれまでのメロコア系のアルバムを凌駕する出来栄えで、ひいてはクラッシュの「ロンドン・コーリング」と並ぶほど、パンク史上のベスト・ワンともいえる大傑作である。2004年度の作品では間違いなくもっとも意義のある作品だったであろう。短い曲が21曲、立て続けにかかる気分爽快のアルバム。ドライブしながら大音量で聴くと、元気100倍。ジャケットも100点。グラミー賞は惜しくもレイ・チャールズに奪われたが、相手が悪かった。少なくともロック関係者の間では最も評価されていたアルバムに違いない。
 マスコミに踊らされるアメリカ人たちを皮肉った「Amercikan Idiot」から5曲を組曲形式にした「Jesus Of Suburbia」、そして「Holiday」から「Boulevard Of Broken Dreams」にかけての一連の流れは圧巻である。パンクの良さはとにかくその単純なノリだが、グリーン・デイのスタイルは、たしかにその単純なノリを推し進めつつ、タンタンタンタン・・・・という小刻みの縦ノリ・テンポの中で、コードが流れるように高低変化していくため、「ノリにメロディがある」楽曲になっている。これが聴いていてかなり引き込まれるし、本気で胸にじーんとくる。とりわけ「Wake Me Up When September Ends」は個人的にお気に入りのパンク・バラードだ。
 演奏もトリオらしくシンプルで、ギター・エフェクトにはほとんど頼っておらず、ある意味ロックのひとつの理想形である。

バンド・アルバム・インデックス
Dookie
Insomniac
Nimrod
Warning