バック・オン・ザ・ブロック
Back On The Block
1989
Quincy Jones

クインシー・ジョーンズは時の人だった。今思えば彼の存在がハヤリものだったのかもしれない。クインシー・ジョーンズほどプロデューサーとして成功した人はいないだろう。マイケル・ジャクソンの「スリラー」を大ヒットさせ、「ウィ・アー・ザ・ワールド」を指揮した。そんな彼が自分のアーティスト名義で発表したアルバムがこれである。僕はこの内容にかなり驚いて、当時はかなり聴きまくっていたものだ。これが気に入って続けて立て続けに「Q's Jook Joint」も購入したほどである。本人の名前で売り出しているとはいえ、彼が歌っているわけではなく、多数の黒人ミュージシャンを集めて、CD1枚にソウル、ゴスペル、ジャズ、DJなどを盛り込み、ひとつの音楽バラエティ番組を構成してしまった。なんと新しい発想であるか。当時は画期的だったラップにも着目し、グラミー賞も総なめしてしまった。凄い。
ちなみに参加ミュージシャンはというと、テイク6(アカペラ)、アイスT(rap)、ハービー・ハンコック(key)、レイ・チャールズ(vo)、チャカ・カーン(vo)、ボビー・マクファリン(アカペラ)、エラ・フィツジェラルド(vo)、サラ・ヴォーン(vo)、マイルス・デイヴィス(trumpet)、ジョージ・ベンソン(g)などなど。よくこれだけのメンバーが1枚に集まったもんだと、それだけでも驚く。しかし「あ、あの人だ」という浮いた感じはなく、皆さんうまいこと自然に楽曲の中に溶け込んでいる。
R&Bアルバムとしては大変素晴らしいのだが、できればロックっぽさも一部欲しかった。一部トトのメンバーが参加しているが、演奏はあからさまに打ち込みで、ヴォーカル主体のアルバムといったところか。