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Genius Loves Company
2004
Ray Charles
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今レイ・チャールズがブームである。亡くなったことで再評価されたパターンなので、喜んで良いのか複雑である。「Ray/レイ」という伝記映画も公開中であるが、これは図らずもレイ・チャールズの哀悼映画となってしまった。
「ジーニアス・ラヴ」はレイの遺作となった作品で、これが今年のグラミー賞を総なめした。僕はグラミーの保守的な考えにはほとほとうんざりしていた。これもレイが死ななければ受賞はなかったと考えてもいい。「ウィ・アー・ザ・ワールド」が最優秀レコードになったり、ジョン・レノンが凶弾に倒れて大してまとまりのなかった「ダブル・ファンタジー」が最優秀アルバムを取ってしまうあたり、グラミー賞はきちんと音楽面で優劣をつけているのか疑問になるわけである。このレイの遺作も、アルバム的なまとまりは完璧とはいえないし、唐突に曲調が変わったりして、コンピレーション・アルバムの域を越えていない。しかも全曲コラボレート作品で、レイはどちらかというとゲストに近く、他人の楽曲に助っ人として出ているだけでしかなく、つまりこれはレイ一人の力ではないのだから、素直に喜べないのである。
今年の最優秀レコードも「Here We Go Again」が取ってしまった。「またノラ・ジョーンズかよ」と、がっかりである。同じアルバムでもジャズ系では「Fever」という素晴らしい曲があったのに。
しかし、レイの芸の多彩さを知る意味では、これは最適のアルバムかもしれない。僕は歌唱力ではレイ・チャールズを上回るシンガーはいないと思うのだが、このアルバムでジャズからブルースまで色々な曲調の歌を軽く歌っているところはさすがと思った。
共演者もよく考えるとすごすぎる。ウィリー・ネルソン、B・B・キングというカントリー界ブルース界の大御所が、ソウル界の巨人レイ・チャールズと名を連ねているだけでもドキドキものだ。とくにB・Bのギターとレイのピアノのジャムは圧巻である。マイケル・マクドナルドやヴァン・モリソンの曲も入っており、ちゃんとロック畑にもアピールしているところも嬉しい。ボニー・レイットのスライド・ギターやビリー・プレストンのオルガンも良い。完成度は置いておいても、確かにこの年最も楽しいアルバムであることに間違いはない。(2005年2月21日) |
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