ハンク・ウィリアムズ
40 Greatest Hits
1989
Hank Williams

 ハンク・ウィリアムズはイイ! このアルバムはハンクのすべてがわかってしまうスグレモノ。これを買うだけで十分だろう。聞き覚えがあるというわけではないが、どれも懐かしい感じ。「Long Gone Lonesome Blues」は名曲。

「ロックは演奏で決まる」愛読者の方ならご存じかと思うが、僕はカントリーが大好きである。ところが僕はとくにどの曲が好きとか誰が好きとかそういったことではなくて、ただカントリーというジャンル自体が好きであって、そういったサウンドの曲がそばで流れているだけでも幸せなのである。ネットラジオの「Cowboy Cultural Society」は暇があれば聴いていたものである。とくに無名の人でもカントリーを歌っていたら聴き入ってしまう。それほど、カントリーには魅力がある。

 できれば皆さんにはクラシックなカントリーを聴いてもらいたい。後年から続々と現れたガース・ブルックスらのポップでコンテンポラリーなカントリーも確かに素晴らしいのだが、毎日聴くような曲ではない。ハンク・ウィリアムズは毎日聴いていても飽きないし、聴いていると癒され、ゆったりのんびり、幸せな気分になってくる。ハンクの歌もいいが、ハワイアン・ギターの音色もじんとくる。

 ハンクは当時大スターで、アンコール回数の歴代記録を打ち立てたという伝説がある。これぞ生粋のカントリーといわんばかりに、ハンクの歌はカントリーそのもの。純粋無垢の清らかなカントリーである。あの震える鼻声と、裏声のヨーデルを混ぜた歌い方はあまりにも有名。「カントリーはハンク・ウィリアムズに始まり、最後にはハンクに戻る」とまで言われている。ハンクはまさにキングであった。彼はゴスペルでいうところのマヘリア・ジャクソン、ブルースでいうところのロバート・ジョンソン、フォークでいうところのウディ・ガスリー、ロックでいうところのエルヴィス・プレスリーである。