ヘッド
Head
1968
The Monkees

 モンキーズというと、ポップ・バンドの代名詞といった感じで、まさにアイドル・グループだった。彼らがアイドル・グループでありながらも、ここまでも批評家受けがいいのは、彼ら自身がアイドルであることよりもミュージシャンになろうと努力していたからである。初期作品はすべて演奏はセッション・ミュージシャンによる吹き替えで、モンキーズはテレビ番組の<商品>としてでっちあげられたバンドでしかなかったが、その商品はやがて自分の意思を持ち始め、3作目から自分たちで本当に演奏し、作曲するようになった。そして数々の野心作を残すことになる。
 つまりモンキーズは大きく二つに大別できる。吹き替えを使っていたころの前期ポップ時代と、自分たちで自作自演するようになった後期ロック時代である。前期ポップ時代はあくまでも商品としての音楽だったので、メロディもノリも売れ筋狙いで素晴らしいし、演奏もセッションだから完璧で、すごくとっつきやすい。対して後期ロック時代は、自作自演なので音楽はかなり下手になったが、ロックとしての魂は十分に持ち合わせていた。それを証明する1枚がこの「HEAD」というサントラ・アルバムである。あくまでもアイドル・グループではないモンキーズがそこにいる。驚くほどアシッド感覚に溢れた一枚である。「Porpoise Song」はキャロル・キングの作であるが、モンキーズに演らせると実に浮遊感のあるサウンドに生まれ変わっている。物凄いテンポの「Circle Sky」のギターの切れ具合など、かなりかっこいい。「Daddy's Song」はボードビル調と、かなり実験色の強い音楽コラージュになっている。

バンド・アルバム・インデックス
Birds, The Bees & The Monkees, The
Changes
Headquarters
Instant Replay
Monkees, The
Monkees Present, The
More Of The Monkees
Pisces, Aquarius, Capricorn & Jones Ltd.