ライブ・アット・リーガル
Live At The Regal
1965
B. B. King

 アメリカではフォークやカントリーと同等に普通にブルースは聴かれている。僕はブルースが大好きである。ところが僕の回りにはブルースが分かる人がいないので、僕はちょっと寂しく思う。僕にとってブルースのリズムは、麻薬的でもある。ブルースばかりは、聴いているとやたらとハイな気分になってくる。僕は本場ブルースを聴きたいあまり、アメリカでB・B・キングが経営するブルースクラブにも入ってみたことがある。それくらい僕はブルースが好きだ。

 僕のブルースとの最初の出会いはB・B・キングである。映画にも本人役で出演することがあり、名前もすぐに覚えた。服装はいつもピシっと決まってるし、音楽も同様にピシっと決まる。昔から活躍している大御所ミュージシャンとしてはボブ・ディランとかと比べてもB・B・キングは断トツで好きである。

 キングは名前のとおり、いつまでもキングとして君臨すべく、ブルース一筋50年である。ギターの腕は世界一という人もおり、白人のロッカーとも多数共演しているが、エリック・クラプトンが坊やに思えてしまうほどだ。ちょっとアクが強いギターであるが、あの独特のアクセントのきいた音は、一度ハマると、たまらないものがある。歌の合間にジャカジャーンとやられると、「待ってました」と叫びたくなる。観客たちもやはりギターのところで歓声をあげている。

 ブルースミュージシャンといえば、渋かったり、ヘヴィだったり、悲哀たっぷりだったりと人それぞれ様々だが、B・B・キングはどうかとうと、彼のブルースはサービス精神旺盛で実に気持ちが良いのである。おそらく最もエンターティナー然としたブルースマンだろう。ブルースはできる限りライブで聴くべきものだが、このライブアルバムはライブブルースの定番といえるものだろう。歌の合間のトークでも始終楽器は鳴り続けている。あのシンプルなリズムはまさに麻薬的。気持ちが良い。何時間でも聴いていたい。

 僕がライブで見たいソロ・ミュージシャンのベスト3は、3位ブルース・スプリングスティーン(ロックの本質を教えてくれそうだから)、2位ジェームズ・ブラウン(とにかく圧倒的にすごいパワーをもっているから)、1位B・B・キングである。ライブの楽しさは、この人が誰よりもわきまえていると思うから。