マゴット・ブレイン
Maggot Brain
1976
Funkadelic

 ジャケットからしていかにもただものじゃない雰囲気を漂わせるこのアルバムは、ファンク史に名を残す大名盤。このリズム、ノリ、ボーカルの黒っぽさ、ねちっこさはまさにファンク。ところがギターがかなり本格的なハード・ロックをしている。全曲的に見てもギターの音色がかなり印象的。ワウペダル使いまくって、かなりロックっぽい。パーカッションとブラスもピアノもリバーブをかけて、かなり立体感を感じさせる作り。

 プログレッシブ・ロック的な「Wars Of Armageddon」はラリラリ。「Super Stupid」のかっちょいいギター・ソロはジミ・ヘンドリックスかジミー・ペイジを彷彿とさせるのに、ところがこれが意外とくねくねくねくね腰を振って踊れるタイプの音楽。

 でも一番良くできているのはタイトル曲の「Maggot Brain」。インストゥルメンタルになると、もはやファンクではない。しみじみとくる静かなギター・リフとシンプルなドラムに、スローなテンポで響き渡るリード・ギターのサウンドには本当にじーんとさせられる。ファンクアルバムで、これほどエレキ・ギターの美学を痛感したアルバムはない。