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Out Of The Blue
1977
Electric Light Orchestra
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いかにも電子的な「キラキラシャララなドラマティックSE」が入ったポップ・ソングは僕が最もニガテとする音楽形式のひとつであるが、唯一の別格がELOことエレクトリック・ライト・オーケストラである。ELOはその手のサウンドを恐らく最初に流行らせたバンドであるが、僕はなぜかELOだけはこの手の部類でも唯一気持ちよく聴くことができる。アニメーターのユーリ・ノルシュテインは「最初に何かをやった人は天才だが、最初にやった人の真似をする人はバカだ」といったが、その言葉はELOを聴くと納得である。ELOはロックに電子的な「キラキラシャララなドラマティックSE」と管弦楽器を合成し、宇宙的なシンフォニック・ロックを作り上げたバンドだ。ギターソロがなくとも、それはとにかくかっちょいいものだった。ところが産業ポップのあらゆるものがELOに追随して打ち込みや「キラキラシャララなドラマティックSE」を入れ込むようになり、ELOのやったことが安っぽく至る所で使われてしまった。ELOはかっこいいが、ELOを真似した歌はダサくてダメである。だから70年代のポップソングのほとんどは今ではとても聴けないくらい古いものになっているのだろう。その点ではELOだけはパイオニアだったため、今聴いても新しい発見があり、アルバム全体に計算が行き届いていることがわかる。
さて、前置きが長くなったが、「アウト・オブ・ザ・ブルー」はそんなELOの最高傑作だと思う。ボリュームのある2枚組ということで意気込みも違う。美的感覚は抜群。すごい音の宝庫であるが、どれもハイテンポでノリノリで、そのノリの感覚を最後まで維持しているところはさすが。景気よくハデに盛り上げてくれて、もう嬉しくなってくる。ほんと、従来のロックにありがちな「渋い」とか「セクシー」とかいった感覚とは別の「スマートな」かっこ良さがある。18分を超える大作もあり、大人数メンバーによる大型サウンドは、さながら映画鑑賞をしているようだ。 |
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