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Rumours
1977
Fleetwood Mac
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客観的な評価から考えれば、70年代最高のロック・アルバムといえば、これになる。全米では32週連続第1位という、普通なら絶対に有り得ない伝説を実現してしまった怪物アルバムだ。もちろんグラミー賞のアルバム・オブ・ザ・イヤーも受賞。60年代のイギリス出身バンドにして、アメリカナイズすることで成功を手にしたフリートウッド・マックの音楽性は、当時の時代性を色濃く反映している。
このときのバンドメンバー5人はフリートウッド・マックの黄金メンバーともいえる布陣で、初代メンバーといえばドラムのミック・フリートウッド1人だけしかいないというのに、まるで始めからこの5人でいることが必然であったかのように、完全なアンサンブルを見せる。97年にライブ・アルバム「The
Dance」で見事な健在ぶりをアピールしたときには、僕もかなり嬉しかったのだが、アメリカではそのこともあってか、有線ではいまだに人気で、僕がアメリカを旅していたころは、マクドナルドやサブウェイで毎日のように「Go
Your Own Way」が流れていたことを記憶している。リンジー・バッキンガムのノリノリの歌声とギターは何度聴いてもたまらないものがあるし、僕にとっては「Go
Your Own Way」は僕自身のテーマ曲みたいな気持ちで、栄養ドリンク代わりに聴いていたくらいで、ただならぬ愛着がある。
しかしあらためてこのアルバムを聴いていると、すごい楽曲が沢山そろっていて再三驚かされる。ヒット曲がいっぱい入っているという意味の凄いではなく、「なんとまあ!」と、楽曲の完成度に圧倒されてしまう凄さがある。しかもどの曲も至って聴きやすい。「Second
Hand News」のベースラインの気持ちよさ。「Don't Stop」と「I Don't Wanna Know」の独特のリズム感。「Dreams」と「You
Make Loving Fun」のドラムの美しさ。「Songbird」と「Oh Daddy」の繊細なキーボード。ラストを飾る「Gold
Dust Woman」の異様なる雰囲気。どの曲も中毒的なおいしいさがある。最近再評価されているスティーヴィー・ニックスのナルシスティックなボーカルも聴き所だが、圧巻はメンバー全員の共作「The
Chain」である。メンバーの崩壊を歌った曲にして、この団結力。巧みに練りこまれた重厚な構成は、何度聴いても強烈なインパクトを受ける。 |
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