Waltz For Debby
1961
Bill Evans Trio

　これはたぶん僕の最も好きなジャズ・アルバム。愛聴盤だ。何が好きかというと、もうそのムード全てというしかない。このジャケットからしてムードたっぷり。デビーというのはビル・エヴァンスの姪っ子らしい。ビル・エヴァンスって本当に素敵なピアニストだ。なんというかビル・エヴァンスの音楽というのは「そこに音楽があった」という感じの音楽。この際アドリブ無しでも構わない。じっくり聴いていなくても、自分の横で演奏が流れているだけでも、それでも幸福な気分に浸れる。だからマイルス・デイヴィスやソニー・ロリンズとかとは明らかに違っていて、もっと静かな包み込むような優しい感じ。レストランでワインでも飲みながらディナーを楽しみたいものだ。このアルバムはご存じジャズクラブでのライブ音源。だからいいのだろう。皿やグラスの音が聞こえてきて、横で数えきれるくらいのお客さんが食事をしている光栄が見えてくる。そのムードがまたよくて。楽器は正真正銘の3ピース。左からビル・エヴァンスのピアノ、中央からポール・モチアンのドラム、右からスコット・ラファロのベースの音が聞こえてきて、それぞれ音が大変わかりやすい。ウッドベースのボロンボロンという音がまたたまらない。