闘
War
1983
U2

 U2は大好きというわけではないが、すごく聴き手を引きつける魅力のあるバンドだと思う。時々思い出したように聴きたくなることがある。なんといっても「ヨシュア・トゥリー」の壮大な音の空間にはいつもながら感動させられるが、U2としての意義をもっと感じさせるものはといえば、この「WAR(闘)」になると思う。U2のアルバムはどれもU2らしさが随所にちりばめられているのだが、1枚1枚雰囲気がかなり違っている。中でも最も変化を感じるアルバムがこれだ。まだボノの声も初々しいが、何かにぶつかっていくような、タイトル通り、闘士を感じさせる。この闘士は、あくまでも精神的なもので、演奏や歌はいたってドライ。ド派手なパフォーマンスや、破壊的な演奏とは無縁で、U2は外見ではなく中身でもって勝負しているように思える。このアルバムをして、U2はそれまでのパンク・バンドやニュー・ウェイブ・バンドを一蹴し、見事全英1位を獲得した。
 「ニュー・イヤーズ・デイ」もその乾いた感じがU2らしくていいが、一番の名曲はやはり1曲目「ブラッディ・サンデー」であろう。故郷アイルランドの悲劇を歌った名曲。ラリー・ミューレンのドラムの独特のリズム感に電撃がビビビーと来た。このアルバムの主演は間違いなくラリーだった。

バンド・アルバム・インデックス
Achtung Baby
Boy
Go Home
How To Dismantle An Atomic Bomb
Joshua Tree, The
October
Pop
Rattle And Hum
Under A Blood Red Sky
Unforgettable Fire, The
Zooropa