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O Brother, Where Art Thou?
2000
T Bone Burnett
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僕の永遠の愛聴盤。レコードだったなら、それこそすり切れるほど聴いていることだろう。旅行中僕がふとiPodでこのアルバムを聴いてしまうのは、それくらいこれが「道」を思わせるアルバムだからだ。映画「オー・ブラザー!」は、20世紀初頭のアメリカを舞台にした囚人たちの脱獄もので、家族揃って楽しめるコミカルなロードムービー仕立てである。作品全編に使われている有名歌手たちによるカントリー音楽が最高に素晴らしく、リラックスして聴くことができる。僕なんかこれを聴くとついしみじみとしてくる。この間、長旅で鈍行列車に乗って外の景色を見ながらこれを聴いたときも、やっぱりいいなあとため息が出た。一切のドラム、エレキ楽器を排除した原始サウンドは、大昔のアメリカの香りがする。
「Po' Lazuras」は囚人達の歌。岩をつるはしで砕く音が見事な伴奏となる。僕はこの1曲目だけで断然ゴキゲンになった。「Big
Rock Candy Mountain」は音の劣化具合が絶妙。おっちゃんの歌声と口笛が、聴いているだけで楽しい。「You Are My
Sunshine」はきっとあなたも知っているカントリーの名曲中の名曲。やっぱり何百回聴いてもいいもんだ。「Down To The River
To Pray」はアカペラの曲。なんだか不思議と心が清められる温かさがある。
(5)「I Am A Man Of Constant Sorrow」はトラディショナルを現代風のロックにアレンジしたタイトなナンバー。伴奏がクラシック・ギター一本だけだとは思えない音の分厚さに感動しまくり。ボーカルはジョージ・クルーニー本人じゃないけど、かなり渋い。(7)はギターのインストゥルメンタル、(13)はフィドルのインストゥルメンタル、(16)はバンド形式と、4タイプ収録されているが、この4つが同じ曲だとは言われなければ気づかないだろう。特に(7)ではギターの生の音の美しさを存分に堪能されたし。
「Hard Time Killing Floor Blues」は見事な弾き語りブルース・ナンバー。僕はスキップ・ジェイムズの大ファンだが、このアレンジでは、スキップ・ジェイムズばりのブルース・フィーリングを臨場感たっぷりに再現している。とにかくしびれさせてくれるかっこいい1曲だ。
「Keep On The Sunny Side」はドブロとマンドリンの音が心地よい女性ヴォーカル・ナンバー。サビの部分が、いっちょやってやるかという気持ちにさせてたまりません。「I'll
Fly Away」は癒し系ヴォーカル。これまた軽快なマンドリンが幸せ心地にしてくれる。
「Didn't Leave Nobody But The Baby」は3人の女性達の色っぽい声がたまらない。ちょっと摩訶不思議な雰囲気を作っている。「In
the Highways」は少女達のコーラス。ハイテンポで楽しい。「I Am Weary (Let Me Rest)」はのんびりと聴ける牧歌的な1曲。フィドルが良い。「O
Death」はソロのアカペラとは思えないほど重厚な曲。歌詞は残酷だが、これもトラディショナルである。「In The Jailhouse
Now」はギター、マンドリン、バンジョー、ドブロ、フィドル、ウッドベースとカントリー系の弦楽器が勢揃いする愉快なヨーデル。このテンポは大好きである。もちろん打楽器は一切使いません。
「Indian War Whoop」はフィドル・ソロが素晴らしいインストゥルメンタル。とにかく踊ろうやと、木製の床の上で回って飛び跳ねたくなる。音楽とは至って楽しいものだと再認識した。「Lonesome
Valley」は黒人奴隷たちの荘厳なアカペラ。みんなの歌声がぴったり合ってなくて、微妙にズレているところが良い。黒人の生まれついての音楽的感性はスゴイと思う。「Angel
Band」は有名なカントリー・デュオの曲。カントリーってなんてステキなんでしょう。ほんと最後まで良い気持ちで聴かせてもらいました。 |
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