|
Surrealistic Pillow
1967
Jefferson Airplane
|
|
このジャケット、名ジャケットだと思う。ミュージシャンの写真を使ったジャケットとしては一番好きで、僕はポスター代わりにこのLPレコードを部屋の壁に飾っていたくらいである。
このアルバムは二つの意味で革新的だった。最初の革新は、サイケデリック音楽を確立した点。アルバムタイトルは日本語に訳せば「超現実的まくら」。なにやらラリってきそうである。ルイス・キャロルの世界を意識した「White
Rabbit」に聴かれるなんとも言えない浮遊感。これぞサイケ。サンフランシスコのグループだった彼らは、グレイトフル・デッド、ビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニーと並び、ヒッピー文化を象徴する御三家バンドのひとつとなった。
もうひとつの革新は、真の意味での女性ロック・ヴォーカリストの誕生である。シグネ・アンダーソンの代わりに加入したグレース・スリックは、ルックスといい、パワフルな歌声といい、まさに女性ロック・ヴォーカリストのカリスマ的存在になった。「Somebody
To Love」などかっこよすぎである。ジェファーソン・エアプレインは男性ヴォーカリストも多数抱えているが、グレースの前には影が薄くなってしまう。グレースは時期的にはビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニーのジャニス・ジョプリンと同じ頃に登場しているが、ジャニスは唯一無二だったことに対し、グレースはその後登場するパティ・スミスやメリッサ・エスリッジなど、あらゆる女性ヴォーカリストの雛形となった、まさにロック界のビッグママといえる。グレースは年取るごとに男みたいな声になっていっちゃうんだけど、それくらいかっこいい人だ。モンタレー・ポップ・フェスティバルなど、大きな野外フェスティバルで、その活躍ぶりを確認することができる。
|
|
|