パワーでいえば「サンタナIII」、アルバムのトータル的完成度でいえば「キャラバンサライ」をあげるが、その両方のバランスを備え、ラテン・ロックというジャンルを確立した点で、このアルバムこそサンタナの最高傑作であろう。とにかくそのラテンのリズム、パーカッションのテンションの張ったサウンドに快感を覚えるが、それ以上に、このアルバムを一貫した美しさに注目してもらいたい。「Singing
Winds, Crying Beasts」からじっくり耳を傾けて聴いてみたまえ。曲から曲への移り変わりの流れがなんと美しいことか。とても二十歳そこそこのキッズたちが作ったアルバムとは思えないほど、大人っぽい匂いを感じさせる。カルロスのギターの素晴らしさはいわずもがな、キーボードとドラムの演奏も実に心地よく、ビンビンに自己主張しまくっている。「Incident
At Neshabur」と「Se A Cabo」の演奏など凄まじい。これぞロック。やはりロックは演奏で決まるのだ。「Black
Magic Woman〜Gypsy Queen」は名曲中の名曲。彼らのライブでも定番で、何度聴いてもぐっとくるものがあるが、僕は「Hope
You're Feeling Better」もハード・ロックしまくっていて好きである。これが全米で売れに売れたということは、アングロ・アメリカ人もこういうラテン・リズムの良さがわかるってことなんだなあ。 |