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Another Green World
1975
Eno
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シンセサイザー奏者としてロキシー・ミュージックで活躍後、クビになる形でバンドを脱退したブライアン・イーノは、まずはヘヴィ・メタル的なファズ・ギターを取り入れたソロ・アルバムで早くも天才ぶりを発揮。やがてはアンビエント音楽の第一人者となるイーノが、その直前の過渡期に作ったのがこの「アナザー・グリーン・ワールド」である。イーノのアルバムの中でも最高と評してよい風変わりなロック絵巻だ。バンドを脱退してソロになったミュージシャンのほとんどが商業主義に落ちぶれるといわれている中で、そのジンクスを見事に打ち破り、ロック・スピリットを己のスタイルで具現化していったイーノは、ロック界における最異端児といわねばならない。
このアルバムの楽器の音のほとんどがイーノが演奏したものか、あるいはイーノによって組み立てられた電子音楽であるが、「In
Dark Tree」など、まこと異様な雰囲気を醸し出しており、後のあらゆる作曲家に影響を与えたことは間違いない。イーノの演奏も素晴らしいが、ゲスト・ミュージシャンも豪華で僅かの出番ながらも好印象を残している。とくに「Over
Fire Island」のパーシー・ジョーンズのベースとフィル・コリンズのドラムなど、麻薬的気持ちよさがあるが、それ以上に聴いてもらいたいのが以前からタッグを組んでいたロバート・フリップのギターである。「St.Elmo's
Fire」、「Golden Hours」など、キング・クリムゾンとはまた違った静かで繊細な音を発しており、二人の相性は抜群だ。 |
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