Hi Hi Puffy AmiYumi
Hi Hi Puffy AmiYumi Music From The Series
2004
Puffy

 僕はクラシック音楽から入った口なので、聴くものほとんどが洋ものだった。そのままロックに趣味を転向したところで、洋ものばかり聴くのは当然の成り行きだった。しかし、邦楽に全く興味がなかったわけではなく、僕のその入り口となったのが何を隠そうPuffyだったのだ。あのやる気のないボーカルと、けだるい振り付け。そしてそれを引き立てる奥田民生のロックンロール・ギター。そのサウンドは妙にバタくさく、J-POPでも、洋楽ロックらしいフィーリングが出せることを僕は初めて認識させられた。だから僕はPuffyの初期シングルは全部持っている。絶対Puffyは海外でも受けると確信していたので、「これが私の生きる道」のCDをポール・マッカートニーに送りつけて感想を聞こうかと本気で考えていた時期もあった。
 いつしか、Puffyはアメリカでスターになっていた。僕の予想は的中したわけである。Puffyが出演するアニメ番組<The Hi Hi Puffy AmiYumi Show>は、カートゥーンネットワークの「お子様アワー?」での最高視聴率を記録した。アニメの内容は、女性ロック・デュオPuffy AmiYumiが時折日本語を発しながらも、人と交流していく話だということらしいが、なかなかクレイジーなアニメみたいである。キャラクターのデザインも秀逸。髪の色など、二人の特徴をよく掴んでいる。Puffyの日本語講座もあるらしく、今キッズの間でちょっとした日本語ワードが人気だとか。和製アニメでないため、国内でなかなか見られないのが残念である。Puffyはアメリカでの商業戦略を積極的に展開している模様だ。日本人アーティストのほとんどがアメリカ進出に挫折しているだけに、Puffyの海外での活動はこれからも応援したい。
 さて、肝心のCDの方だが、これはアニメのサントラCD。新曲は「Hi Hi」の1曲だけなので、それまでのヒット曲のコンピレーション・アルバム的扱いである。「アジアの純真」などは日本語歌詞をそのまま使っているが、といっても収録曲の半分は英語歌詞というのはやはり海外メジャー盤らしいところ。Puffyの英語はいわゆる「日本英語」なのだが、アラベスクっぽい声で、なかなか出せないノリの良さとハーモニーである。音的にはパンク。「Hi Hi」「Friends Forever」「Planet Tokyo」「Joining A Fan Club」「Teen Titans Theme」は紛れもないパンク・ロックである。昔のPuffyしか知らない僕にとっては少々とまどいもあったが、日本語を所々にまぶして、ガツンとかっこいい。こういうタイプの曲が向こうのキッズたちには受けるのだろう。ちなみに「Forever」と「That's The Way It Is」は初期ビートルズを彷彿とさせる。個人的には由美のソロ曲「VACATION」が入っているのに亜美のソロ曲がないのが残念かな。
 それにしても圧巻はやはり「アジアの純真」といわねばならない。「True Asia」というタイトルに差し替えられているが、ELOチックなそのポップ・サウンドは気分爽快。ハッピー気分元気もりもりになっちゃいます。「アジアの純真」のこのグルーヴ・ショックは忘れられない。