キング・クリムゾンのアルバムはどれもいいが、「Red」は、とりわけ完成度が高く、「Larks'
Tongues in Aspic」に匹敵する名盤であるが、正規メンバーがこの時ロバート・フリップ(g)、ジョン・ウェットン(b)、ビル・ブラッフォード(dr)のたったの3人だけだったことを考えると、この重厚なメタル・サウンドは驚異としかいいようがなく、技術的な面で考えても、これをキング・クリムゾンの最高傑作といっても間違いあるまい。サックスや他の楽器も印象的だが、これはかつてのオリジナルメンバーだったイアン・マクドナルドがゲスト参加して演奏しているものだ。
まず1曲目の「Red」から圧倒的である。テンポは早いわけではないが、ギターとベースとドラムから発される重圧感は凄まじいものがある。ロックは激しくなければ嫌だというわけのわからない輩にぜひ一度聴かせたい曲である。2曲目「Fallen
Angel」でもその張りつめたテンションはそのまま。クリムゾンらしいダークさと、物悲しさは遂に来るところまで来ている。
ロバート・フリップは、このアルバムを発表する前の74年9月、すでにキング・クリムゾンの解散宣言をしており、このアルバムは実質彼らのスワン・ソングとなるものだった。ジャケットの裏面はタコメーターがレッドゾーンに振り切れる写真であり、キング・クリムゾンの極限状態が暗示されている。たしかに最終曲「Starless」の内容は偉大なるロック・バンドが極限まで上り詰めた葛藤を音楽に昇華させているようにも思えなくもない。 |