ライブ・フロム・セントラル・パーク
Live From Central Park
1999
Sheryl Crow and Friends

 始めに言っておくと、僕はシェリル・クロウ信者である。しかし、このアルバムは駄作といわねばならない。僕がライブ・アルバムに期待するのは、ミュージシャンの本当の姿であり、ロック魂であるのだが、このアルバムにはこの二つの要素が欠けている。
 たしかにシェリル・クロウの性格がよくあらわれたアルバムであり、たしかに生身のシェリル・クロウを知ることができるアルバムであるが、シェリル・クロウの音楽の最大の面白さは仮面を被ることだと思うので、彼女お得意の変身ワザを楽しめないこの作品は、なにか物足りないように思う。ムードのまったく違う先の3枚のアルバムの楽曲を、ここでは同じムードで演奏してしまったことで、ユニークなはずの楽曲がやたらと平凡な音楽に聞こえてしまうのである。
 爽快感があるのがライブとあるべき姿だと思うのだが、なにかこれは不完全燃焼で、これだったらスタジオ収録版の方が遙かに爽快感をあったように思う。生粋のシェリル・クロウのライブを聴きたかったのに、スティーヴィー・ニックスやディクシー・チックスらをゲストに招いて、ゲストの曲を歌っているところもかえって興醒めさせられる。彼女がクリームの「White Room」を歌っているところは面白いが、こういうライブでゲストとして出てくるエリック・クラプトンほど物足りないものはない。シェリル・クロウの声もどこかロックとしての精彩に欠き、ゲスト達に根負けしている気もした。彼女はもっと硬派なミュージシャンと思っていただけに、このなよなよとした文化祭チックなパフォーマンスにはちょっとがっかりである。やっぱり彼女はスタジオ・ミュージシャンとしてやっている方が面白いと思う。

バンド・アルバム・インデックス
C'mon C'mon
Detours
Globe Sessions, The
Sheryl Crow
Tuesday Night Music Club
Wildflower