「ライブ・フロム・セントラル・パーク」から3年。わが愛するシェリル・クロウ4枚目のオリジナル・アルバムの登場である。
僕がちょうど音楽に目覚めたころにシェリル・クロウは大出世した。それから僕は彼女のアルバムを全部発売してすぐに買ってきた。つまり彼女は僕にとって初めてリアルタイムで体感したミュージシャンということになる。ほんと、毎回毎回ガラリとカラーを変えて、ワクワクさせるミュージシャンである。同じ頃にハマったアラニス・モリセットはすぐに飽きてしまったが、シェリル・クロウはいまだに聴きまくっている。その中でも最も繰り返し聴いているのがこの「カモン・カモン」だ。このまばゆいジャケット。タイトルからくるポジティブなイメージ。恐らく過去4枚で最も美しいシェリル・クロウの歌声を聴くことができるアルバムである。
今回はパワフルなサウンドで攻めまくる「Steve McQueen」「I Want You」でロック・ミュージシャンとしての真価も思う存分発揮しているが、「Soak
Up the Sun」「Hole In My Pocket」のようなスキップする曲のノリもまた印象的である。そして何といっても一番の聴き所は「C'mon
C'mon」「Diamond Road」のような情緒あふれる曲の数々だ。3作目「グローブ・セッション」で培ったドラマティックな音楽性がより聴きやすい楽曲集になった感じである。シェリル・クロウの音楽は、ほんとうにいいところでバーッと一気に盛り上がっていくから気持ちが良い。まさにサビの天才。「Diamond
Road」のギターの音には僕は何度癒されたか。「It's Only Love」の90年代風ギターソロと弦楽器の共演も素晴らしい。ただただ感動的な「Safe
And Sound」と「Missing」の壮大なる音の広がりもさすがシェリル・クロウと思わせる。
実は僕はこれを最初聴いたとき気に入らないところがあった。「It's So Easy」でシェリル・クロウじゃない人の声が聞こえてきて、しかもその人の方が歌が上手くて目立っていたものだから、シェリル・クロウの声だけを聴きたかった僕としては、デュエットしてる人に対して邪魔だとも思っていたわけである。しかし、今ではこの曲は彼女の曲の中でも最も好きな曲のひとつになった。デュエットしている人はドン・ヘンリー、イーグルスのドラマーである。彼ならば許せる。サビのところのシェリル・クロウとの合唱は最高に感動的である。ドン・ヘンリーはロジャー・ウォーターズの「死滅遊戯」でも好演だったが、「It's
So Easy」はそれに匹敵する名サポーティングといえる。
この他、「You're An Original」でレニー・クラヴィッツ、「You're Not The One」でスティーヴィー・ニックスと共演しており、シェリル・クロウも有名になったもんだ。 |