iPodはおそらくApple史上最大のヒット商品だ。他の携帯プレーヤーがダサダサに見てくるほど、iPodは素晴らしい。iPodの曲をまとめるiTunesも大傑作ソフトだと思う。僕のiTunesには1万曲以上の音楽データが入っているが、ジャンル名からアーティスト名まですぐに検索できるし、アルバムのジャケットも全部データ化してある。iTunesを開くだけで嬉しさのあまりニンマリしてしまう。それだけではなく、ネットラジオの機能もついているので、僕なんかはよくカントリーをBGMに流している。

 そしてようやく、iTunes Music Store Japan(iTMSJ)が今年8月からついに動き出した。アメリカではずいぶんと昔からiTunesで曲をワンクリックで買うことができたのだが、日本では買いたくても買えずに歯がゆい思いをしたファンが多かった。待ちに待ったiTMSJである。しかも用意された楽曲数は100万曲だ。他の音楽ストアをはるかに上回る量である。相当充実したラインナップになるに違いない。

ところがだ、フタを開けてみると、100万という数字がいかにショボいか思い知らされる。そういえば自分のiTunesのライブラリにはすでに1万曲入っているのだし、これが100倍になったところで内容が充実するとは思えない。色々なバンド名を検索してみたが、ほとんどがヒットしなかった。この記事を書いている時点ではビートルズもなければキング・クリムゾンもない。あれもこれも何もないではないか。iTunesのためだけにアルバムを作ったというglobeとウルフルズに関しても、その新製品の正体はコンピ盤でしかない。

 ガッカリさせられたのはそれだけではない。値段だ。1曲平均150円だ。だいたいアルバムの中から1曲だけ買うなんてことをロック・ファンがやるわけがない。僕はどうも中途半端が嫌いなので、1曲聴くくらいならアルバム1枚全体を聴かないと気が済まない男だから、1曲だけを買うのはプライドが許さない。ならばアルバム1枚を買えばいいではないかと言うだろう。ところが、アルバム1枚では平均1500円ときたもんだ。ただデータだけを買うために果たして1500円を払えるだろうか? やはり音楽ファンとしてはライナーノーツとCDも欲しいところである。どうしても物理的なモノが欲しい。データだけなら、TSUTAYAで300円で借りてコピーしても同じことじゃないか。

 とはいえ、iTMSJもまだ始まったばかり。あと1年後にはすごいことになっているかもしれない。今後の動きに期待したい。(2005/8/12)