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Mr.Tambourine Man
1965
The Byrds
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「ロック」の真のパイオニアと言えるアーチストは、イギリスはビートルズ、アメリカはボブ・ディランである。1965年は英米同時にロックが誕生した記念すべき年である。ビートルズは「ラバー・ソウル」でアルバム主体の楽曲構成に成功し、「ロックン・ロール」を「ロック」へと完全に昇華させた。ディランは「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」でエレキへと転身し、「フォーク」を「ロック」へと完全に昇華させた。英米それぞれが違う方向からロックを確実に定義させたその同年、バーズというバンドが、ビートルズとディランの要素を結合させて「ロック」を体現していた。それが「ミスター・タンブリン・マン」である。
タイトル曲はディランの名曲をビートルズ風にアレンジしたものだ。そのせいか、12弦ギター、浮遊感あるコーラスなど、彼ら独特のサウンド本来の評価よりも、ポスト・ビートルズ、ポスト・ディランという肩書きの方を背負うことになり、「ロックのパイオニア」という名誉を確認されぬまま、このアルバムはただの名盤で片づけられてしまうことが多いのだが、実際この年これほどオリジナリティのあるロック・アルバムは稀であり、フォーク・ロックの第一作であることはもちろん、「ラバー・ソウル」以前の真のロック・アルバムとしても、高く評価されるべき作品であることは間違いない。 |
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