Stars on 45
Greatest Stars On 45 Vol.1
1996
Stars On 45

これは、恐らく最もいかがわしく、そして最も話題を呼んだ海賊盤であろう。海賊盤にしておくのはもったいないということで、正規盤のレコード会社から正式に発表され、なんじゃこれは?という内容にして、全米で第1位になった。これはいわゆるディスコ・サウンドだが、歌っている曲がビートルズだったりアバだったりシュープリームスだったりローリング・ストーンズだったりする。Stars On 45って、いったい何人組のグループなのだろうか?? オランダ出身だということはわかっているが、それ以外はまったくの謎。Stars On 45のテーマ曲みたいなものはあって、それは何度も反復して出てくるのだが、歌の主体はヒット曲のパクリ・メドレーでしかない。たとえばビートルズのサビのところばかりをパクって強引につなげてメドレーにしているのだ。ずっとテンポは同じだが、見事に1曲として編曲しており、その作り込みのこだわりぶりには思わずニヤリとさせられる。
驚くのは歌っている人の声質のソックリ度だ。これはサンプリングではない。実際に演奏して歌っているのだ。「ショッキング・ビートルズ」として発表された曲には少なくとも3人のヴォーカリストが出てくるが、その3人がジョン、ポール、ジョージにかなり声がそっくりなのだ。ジョージ派にも納得の選曲だし、演奏の細かいところまでしっかりコピーしているし、ここまでやってくれると嬉しくなる。スティーヴィー・ワンダー、ダイアナ・ロス、ミック・ジャガー、サイモン&ガーファンクル、その他、いったい何人ボーカルを抱えているのだろうか?というくらいにそっくりさんが続々と登場する。こうして聴くと、それぞれの歌手の歌い方の特徴やクセがどういうものか、だんだんとわかってくるというものだ。
堂々と違反行為を大まじめにやっちゃってるところにこのグループの強みがある。ただヒット曲を強引に羅列しているだけの構成だからか、聴いているうちにだんだんと飽きがくるが、まあお遊びとしては十分に聴く価値がある。こんなアルバムがあったっていいんじゃない?