概して、「ジャズ」といっても、ルイ・アームストロングとマイルス・デイヴィスとでは、ずいぶんと印象が違う。両者を「ジャズ」というひとつの枠内におさめることに抵抗を感じている人もいるだろう。これを解決する枕詞が、「ホット」&「クール」である。「ホット・ジャズ」、「クール・ジャズ」という表現は、よく言い当てたものである。つまり、サッチモはホットで、マイルスはクールである。ホット・ジャズはノリがよく「みんなで楽しく踊って歌いましょう」タイプ。クール・ジャズは渋くてストイックな「黙って俺の演奏を聴け」タイプ。サッチモ、マイルスはそれぞれの分野でキングになったジャズマンである。
 俺は考えたが、この表現は、ロックにも使えないだろうか? テンポがよく、踊って楽しめるロックはホット・ロック、内向的で渋いロックはクール・ロックである。たとえば、ローリング・ストーンズやエルトン・ジョンはホット・ロックになるだろうが、イエスやジミヘン、ディランなどはクール・ロックになるだろう。一般的にホット・ロックはポピュラーで、クール・ロックはコアなロック・ファン向きの傾向にある。俺の敬愛するビートルズは、ホット・ロックからクール・ロックに転身した数少ないバンドのひとつであり、やっぱりビートルズはスゴイなあと改めて感心しちまうわけであります。
 ホット&クール。うむ。これは使えるぞ!ってなわけで、俺のサイトでは、俺の勝手強引な判断により、時折ホット・ロック、クール・ロックという単語を使い分けていくことにする。(2004/3/25)