CDで、曲名の横に「ボーナストラック」という表記がついていることがある。これはアルバムのコンセプトとは別に、曲を追加することである。
そもそもなぜボーナストラックがつくようになったのか。これはLPとCDの仕様が関係している。
LP時代はアルバムの収録時間は両面で40分前後が一般的だったが、CD時代になってからは1枚で60分前後のものが一般的になった。CD世代の人はたいていLP世代のアルバムの収録時間を短く感じるらしく、そのためLPをCD化するときは、メーカー側は、他のCD商品に負けないようにCDの空き容量にボーナストラックを入れるようになった。主な内容は、未発表音源、デモ音源、カラオケなど。たいていのボーナストラックは他愛ないものばかりだ。
ボーナストラック反対派の人は多い。僕もその一人。ボーナストラックは、そのクオリティの善し悪しに関わらず、アルバムとは別個の作品として聞かなければならない。それが「アルバム至上主義」の僕には許せないわけである。ボーナストラックは明らかにオリジナルトラックと音質が違うので、曲調が変わった瞬間、興が醒める。ラストの曲の余韻に浸る余裕を与えぬまま、いきなりおまけトラックを聴かせるのは不愉快だ。バーズやビーチ・ボーイズのアルバムも、せっかく1本の作品として完結している完璧なアルバムなのに、後から余計な曲を追加されて、良いアルバムが台無しである。どうせなら「このCDを購入された方にもれなく特典CDを差し上げます」と説明を入れて、CDと別個に梱包してくれればいいものを。
悲しいのは「レット・イット・ビー...ネイキッド」の特典CD。これほど必要のないものはない。本編1枚だけなら作品として完成していたのに、それに余計なCDを付けてしまったことで、CDケースが無用に大きくなってしまい、安っぽいアルバムになった。30年ぶりのオリジナル盤になるはずが、この特典CDのせいで、結局はベスト盤扱いに落ちぶれているのである。あ〜もったいない。(2004/5/9)
追加 会社をやめる友達に「イマジン」をプレゼントした。本当は「ジョンの魂」をあげたかったんだけど、ボーナストラックが余計についていたので、まとまりのないアルバムだと思われるとシャクだったので「イマジン」に変更した次第だ。プレゼントはぜったいボーナストラックなしにコンパクトにまとまっている方がいいよなあ。(2005/11/1) |