枯葉が落ちる庭園Reggatta de Blanc1979Police  だ。
Garden Shed
1977
England

 プログレ&ハードロック系の音楽雑誌「ストレンジ・デイズ」による紙ジャケ・レーベルの名盤。英国ロックの伝統美学を象徴するかのようなイングランドは、この1枚を発表しただけで解散してしまう。しかし、この1枚はいまだに名盤と誉れたかい問題作である。
 メンバーはマーティン・ヘンダーソン(ベース)、フランク・ホランド(ギター)、ロバート・ウェッブ(キーボード)、ジョード・リー(ドラム)の4人。それぞれが作曲ができ、それぞれが各曲でボーカルを分けている。興味深いのはこのアルバムはすべてライブ向けに演奏されることを考慮して作曲されている点である。オーバーダビングも極力やっていないし、とくにこれといったエフェクトに頼らず、楽器本来の持ち味を生かした4ピース・サウンドにこだわっており、ライブ系バンド・サウンドを好む僕としては俄然嬉しくなるアルバムである。
 1曲目「狂気に満ちた夜」の出だしはまるで『スイッチト・オン・バッハ』風のアナログ・シンセサイザーの分厚いサウンドから始まる。聴いていくとまるでイエスにも似た盛り上がりを感じさせる。どうしてもイエスの『危機』を思い出してしまう内容であるが、美しさといい、演奏技術の高さといい、まったくひけを取らぬ出来栄えである。ドラムのタッチはビル・ブラッフォードっぽいし、最後の超大作「毒された青春期」などはメロトロンからしてすでにキング・クリムゾン風である。ややエスニックな味付けのされた3曲目「三編の組曲」もプログレ然とした名曲である。特に間奏のギター・ソロは、ライナーノーツにも書かれてあったが、クイーンのブライアン・メイのギター・ソロにも似た輝きを持つ。
 しかしパンク世代の77年にこのアルバムとは、出遅れすぎである。どの曲も何か別のバンドの音に似ているところがあるせいか、イングランドは確固たるアイデンティティを形成できずに終わってしまったのではないかと推測できるが、それでもこのアルバムは僕の大好きな1枚である。久しぶりにゾクゾクさせてもらったし、無名でもこれほど凄いアルバムが作れるとは、イギリスだけでもまだまだプログレの名盤は沢山埋もれているに違いない。それを発掘することは、このホームページに課せられた使命のひとつだと思う。