Manifesto
1979
Roxy Music

 新生ロキシー第一弾。前作「Siren」から4年ぶりとなる作品であるが、今まで統一感のあったジャケット・デザインも一新され、そのサウンドは前作から完全脱皮。メンバー各自が空白期間中にソロ活動で鍛え上げた新しい音楽観が融合し、極上のロック・アートが誕生した。

 (2) Trash , (9) Cry, Cry, Cry のノリのよさから、ダンス音楽としても高く評価されるアルバムであるが、それ以上に演奏面の進化に注目したい。(5) Stronger Through The Years , (10) Spin Me Round ほか、マッケイの織りなす音は相変わらず麻薬的魅力があるが、ゲイリー・ティブスのベースも凄い。ロキシーには正式のベーシストがおらず、ベースはいつもゲスト・プレイヤーに頼っていたが、そのせいか、ゲストを立たせるようなサウンドが多く、とりわけ同作のベース音は分厚い。(1) Manifesto , (3) Angel Eyes など、収録曲のほとんどがベース主導のロックになっており、低音マニアにはたまらない1枚である。

 名曲(8) Dance Away はメロディもちろんだが、楽器にこういう使い道があるのか、と思わせるほど興味深い演奏をしている。この演奏法をさらにふくらますと、バンド・サウンドを超えたシンフォニック・サウンド「Avalon」ができるわけだが、「Manifesto」は、その前段階の、まだバンドとしての音の名残を残す、ロキシーのアルバムの中でも最も爽快なアルバムである。

バンド・アルバム・インデックス
Avalon
Country Life
Flesh + Blood
For Your Pleasure
Roxy Music
Siren
Stranded