楽曲とコンセプトでいえば「Avalon」が最高だろうが、バンド・サウンドという面ではこのファーストアルバムが一番である。正式メンバーのベーシストが録音に参加したアルバムはこれ1枚だけ。まだイーノも降ろされていないので、イーノらしい妖しげな電子音も聴き所である。
ロキシーをパンクの父とする専門家も多いが、それは1曲目の「Re-Make/Re-Model」の衝撃があったからだろう。それまでのロック音楽の常識を根底から覆したようなエポックメーキングな曲で、メンバー6人の演奏が尋常ではない。フェリーが提唱した音楽解体とはこのこと。6人それぞれの楽器ソロをフィーチャーしているが、リードメロディはどれも断片的であり、この演奏法が「Manifesto」のスタイルにも通じている。
ロキシーのアルバムは、新しいものほどまともで、どんどん曲の構成も整っていくのだが、そのためファーストのこの崩れ具合は凄まじい。ただただ圧倒される1枚だ。フェリーのボーカルはアブナイほど震えまくり、アンディ・マッケイのサックスとオーボエは至って風変わりである。 |