無数にヒット曲があるビートルズの中から、たった15曲を選ぶのは至難の業だった。なるべくひとつのアルバムから1曲ずつ選出する気持ちで選んだので、個人的な思い入れが強いアルバム「Abbey Road」と「Magical Mystery Tour」の曲ばかりを中心に選曲できなかったのが残念でならない。どうしてもこういうランキングを選ぶとポールびいきの選曲になってしまうが（15曲中10曲がポール）、本当はジョンの曲ももっと入れたかった。

「A Day In The Life」
この曲単独だけではイマイチよくわからないのだが、「Sgt.Peppers」のアルバム全体を通して聴くと、最後に度肝を抜かれる。ジョンの浮遊感のあるヴォーカルとリズムギター、ポールの吸い込まれるようなベース、不気味に響くピアノなど、ロックの革命ともいえる問題作。

「Get Back」
「ロックは演奏で決まる」流で行けばこれがベストかな。とにかく演奏がかっちょいい。ジョージのギターは小刻みで渋く、ジョンのギターはねちっこく独特のグルーヴを放ち、ポールのベースは凄まじくうねりまくり、リンゴのドラムは軽快にかけまわる。
「Something」
ジョージの繊細なギターがたまらないラブ・ソング。この1曲でジョージはジョンとポールに追いついた。僕が「ジョンとポールどっちが好き？」と訊かれた時に必ず「ジョージ」と答えるのは、この曲が好きだからだ。
「Hey Jude」
ビートルズ最大のヒット曲。歌いながらどんどん熱くなっていく。ギターもベースもドラムもピアノも文句のつけようがないかっこよさ。最後のコーラスで、みんな巻き込んで盛り上がれ。シャウトしまくるポールもかっこいいぞ。
「Can't Buy Me Love」
非常にビートルズらしい曲。予約だけでもベラボーに注文が殺到したシングルだ。ポール・マッカートニーのメロディ・センスは天才的としか言えない。ポール、シャウトしまくって、これぞ60年代ロック！
「Help!」
これこそビートルズのテーマ曲。ジョンの曲としては最高傑作だろう。ジョンお得意のスキップするリズム・ギターが爽快だし、リンゴのドラムもノリノリ。ポールのベースは輪郭が濃く、そしてジョージの控えめのリードギターが耳に心地よい。
「Yellow Submarine」
リンゴ・スターが大活躍する曲。初めて聴いたときはちっともロックぽくないし、歌声もかったるいし、「なんじゃこりゃ？」と思った曲だが、何度も聴いているうちに、愛さずにはいられない曲になった。悩み事なんか吹き飛ばすアンセムだ。

「Let It Be」
「Hey Jude」「The Long And Winding Road」と並び称されるビートルズのピアノ・ロック。これまでにさまざまなバージョンが発表されたが、シングル・バージョンが最高の出来栄え。ジョージ・ハリソンのギターが泣ける。
「The Long And Winding Road」
この曲にはオーケストラ版とエレキギター版がある。アルバムとして発表したのはオーケストラ版が先だが、映画「Let It Be」ではエレキギター版が使われているので、本来ならばエレキギター版がオリジナルということになる。しかし有名なのはオーケストラ版の方だ。
「Yesterday」
ポール弾き語りの単独曲なのに、しばしばビートルズのイメージソングとして使われる。世界一カバーされた回数が多い曲であり、今も必ずどこかのラジオ曲で流れていると言われるほどの名曲だ。決して廃れないバラード。
「Penny Lane」
ファンの間ではこっちよりもジョンの「Strawberry Fields Forever」の方が人気があるが、僕はポールの「Penny Lane」の方がよくできていると思う。不思議な魅力のある曲。ポールのベースが絶妙。
「Norwegian Wood」
この曲からビートルズは「変わった」と思う。それまでアイドルグループだったビートルズが、ひとつのロック・アーチストとなった瞬間だ。ジョンの歌詞、歌声も天才を感じる。初めてロックにインドの楽器シタールを導入した点でも革新的。
「Please Please Me」
ポンキッキでよく流れていた曲なので、僕も生まれたときからすっかり脳にインプリンティングされていた。ジョンとポールが「カモン、カモン」と声をかけあうところがいい。ハーモニカも初期ビートルズならでは。
「Here Comes The Sun」
シンセサイザーの最も正しい使い方。フォーク・ギターとシンセサイザーの掛け合い。ジョージらしい清らかな輝き。ジョンは不在だが、ポールとリンゴの演奏がジョージを引き立てる。ジョージは世界で最初にシンセサイザーを手したロック・ミュージシャンの一人だ。
「She Loves You」
本国ではこの曲が一番売れている。出だしからドラムにコーラスにギターにと一気に盛り上がってめちゃくちゃかっこいい。「イエーイエーイエー」と力強いコーラスなど曲構成がシンプルでとっつきやすい。