僕はキング・クリムゾンに影響されてサックスを始めたくらい、キング・クリムゾンが大好き。プログレッシブ・ロックという言葉は、彼らのためにある。ロバート・フリップの詩的かつヘヴィなギターも無論好きだが、それ以上にサックスの音色に驚かされる。キング・クリムゾンには、イアン・マクドナルドとメル・コリンズという敏腕のサックス奏者が在籍し、ジャズでもなく、クラシックでもない、ロックとしてのサックスを即興で吹き鳴らしたものだ。また、メロトロンやブラス、ピアノなど、ロック楽器の範ちゅうにとらわれない斬新な音作りも、キング・クリムゾンの注目すべきところだ。

「21st Century Schizoid Man」
サックスが吼えまくり、凄まじく異常なヘヴィ・ロック。キング・クリムゾン永遠の代表曲。ロバート・フリップは永遠にこの曲の呪縛から解き放たれることはないだろう。

「Sailor's Tale」
キング・クリムゾンの魅力は1にも2にもインプロヴィゼーションだ。第2期のアルバムは、ロバート・フリップのギターと、メル・コリンズのサックスのぶつかり合いが最高にイカしていた。ロックはやはり演奏で決まるのだ!

「Larks' Tongues in Aspic, Part One」
クリムゾンもいよいよ第三期に突入。またしても突然変異を起こした。この曲におけるヴァイオリン、パーカッション、ファズギターの演奏法には誰もが不意打ちをつかれただろう。どこからきいてもクリムゾンらしい大作だ。
「Epitaph」
プログレッシヴ・ロック・ブームの火付け役となった曲。美しく、物悲しく、崇高で、ヘヴィで、そして壮大なスケール。メロトロンの音色が印象的である。
「Starless」
フリップのギター節が炸裂。サックスとメロトロンとパーカッションが素晴らしい。キング・クリムゾン自身の葬送曲にして集大成。ロックの領域を超越するほど、来るところまで来た曲。すべての終わりだ。
「Peoria」
キング・クリムゾンといえばインプロヴィゼーションだ。「Peoria」はそのスタイルをもっとも的確に表現している曲だ。ギターもサックスもドラムもヴォーカルも即興でやっている。
「Island」
キング・クリムゾンはギター、ベース、ドラムにこだわらず、様々な楽器をフィーチャーしてきたバンドであるが、この曲ではピアノとコルネットが素晴らしい効果をあげている。寂しげだが、どこか温かい曲だ。
「Exiles」
第三期のヴァイオリン、パーカッションの音色はとにかく画期的である。クラシックやジャズの影響も多分に感じられるが、そのどれでもないロックとなっている。ギターの音もいかにもフリップらしい。
「One More Red Nightmare」
ギター、ベース、ドラム、サックスの4ピースによる、破壊力に満ちた荒々しいインプロ風の曲。ジョン・ウェットンはクリムゾンのボーカリストの中では最もアグレッシブだった。ギター・リフも奇抜。
「Prelude: Song Of The Gulls」
ギターもベースもドラムも使っていない管弦楽器によるインストゥルメンタル。アルバムの中に欠かすことはできない涙の情景音楽だ。またひとつ、ここにキング・クリムゾンはロックの新形式を完成させた。
「Groon」
サックスとドラムのインプロヴィゼーションがとにかく熱い。メル・コリンズはあらゆるバンドでセッションをこなしてきたサックス奏者だが、キング・クリムゾンにいたころが全盛だった。
「Starless And Bible Black」
なんなんだこの静けさは!というくらいに恐ろしいほど静寂から始まる曲だ。「Moonchild」もそうだが、キング・クリムゾンにはこういう静かな曲が多い。そこがロック・バンドらしからぬ良い所。
「Red」
アルバム「Red」は、初めて聴いた瞬間から、とんでもない名盤だと思った。この1曲目のタイトル曲に脳天をかちわられた思いだ。おそろしいほどに気迫に満ちたヘヴィなサウンドだ。
「The Talking Drum」
キング・クリムゾンの音楽は「音量」の違いがはっきりしているから面白い。静かな曲もあれば、うるさい曲もある。「The Talking Drum」は、最初は静かだが、だんだんと音が大きくなっていく。
「Fallen Angel」
前半は叙情的に、後半はヘヴィに。第2期の教訓を生かしつつ、第3期ならではの緊張感を併せ持つ曲だ。ブラスとギターとヴォーカルに注目。タコメーターがふりきれたようなパワーがある。