イエス/ライヴ
9012 Live: The Solos
1985
Yes

 これはイエスのライヴ・アルバムとしては3作目にあたる。それまでのライヴ盤と比べると、なんとも適当に編集した1枚という印象がする。7曲中、おなじみの曲は「ホールド・オン」と「変革」の2曲が入っているが、これはDVD『9012ライヴ』と全く同じ音源を使い回しているだけで目新しくない。となると、価値があるのはメンバーそれぞれのソロ演奏をフィーチャーした残りの5曲ということになる。ここでいうソロとは、長いライヴの中の見せ場としての楽器ソロ・パートを意味する。
 イエスのライヴの醍醐味は、『イエスソングス』を聴いてわかるように、各自の楽器のソロ演奏をフィーチャーしていることにある。メンバー全員が平等に活躍することが、イエスのひとつのルールのようなものだった。だから本作でもトニー・ケイやトレヴァー・ラビンが頑張ってくれているわけだ。トニーはリック・ウェイクマンよろしくクラシックを引用してみせるが、今ひとつカリスマ性に欠けるのが残念でならない。トレヴァーはスティーヴ・ハウよろしくアコギを弾きまくるが、これはエスニック調でなかなか乙である。
 ジョン・アンダーソンのソロは「錯乱の扉」からの引用で、まあいつも通りの印象。クリス・スクワイアのソロは、ゴスペル「アメージング・グレース」をベース1本で演奏。ジミ・ヘンドリックスを彷彿とさせる。最後の「ホワイトフィッシュ」もクリスのソロだが(アラン・ホワイトも横でサポート)、これは名曲「フィッシュ」を更に拡大させ、クリスがそれまで生み出してきたベースラインの珠玉のダイジェスト集といった趣。詰め込みすぎた感はあるが、ファンにはたまらない演奏で、この1曲だけでも買いといえる。

バンド・アルバム・インデックス
90125
Big Generator
Close To The Edge
Drama
Fragile
Going For The One
Magnification
Open Your Eyes
Relayer
Tales From Topographic Oceans
Talk
The Ladder
Time And Word
Tormato
Union
Yes
Yes Album, The