狂気
The Dark Side Of The Moon (SACD)
2003
Pink Floyd

ピンク・フロイドの伝説的な名盤「狂気」を、誕生から約30年を経て、ようやくマルチ・チャンネル(5.1ch)で発表したのがこの1枚。単純計算でも普通のCDの6倍も音がいいスーパーオーディオCDに収録されており、数限りない「リマスター物」の中でも究極の作品といえるだろう。

6台すべてのスピーカーは独立した音を発し、鑑賞者のまわりを360度包み込むそのサウンドのクリアな美しさたるや、まるでこれが本来からマルチ・チャンネルで作られていたかのように自然な三次元世界を構築している。明らかにオリジナルとは印象が違うが、オリジナルの良さはまったく殺いでいない。この感動は、だまされたと思って、実際に体感するに尽きる。

すべての曲が素晴らしいが、音の空間を十二分に感じられる曲は(4)Time と(6) Money である。ピンク・フロイドの音楽的な興味は、やはり音響効果にあるのだと実感できる。

バンド・アルバム・インデックス
Animals
Atom Heart Mother
Dark Side Of The Moon, The
Division Bell, The
Final Cut, The
Meddle
Momentary Lapes Of Reason, A
More
Obscured By Clouds
Piper At The Gates Dawn, The
Saucerful Of Secrets, A
Ummaguma
Wall, The
Wish You Were Here


メンバーチェンジをほとんどしなかったピンク・フロイド。このバンドに関わった人物は5人。しかし、すべてのアルバムに参加してる人物は、意外にもニック・メイスン(ds)1人だけだ。
ピンク・フロイドを解散させた元リーダーのロジャー・ウォーターズ(b)は新生フロイドのアルバム「鬱」と「対」に関わってない。現在実質的な中心人物であるデイヴィッド・ギルモア(g)は後からメンバーに参加したため、デビュー作「夜明けの口笛吹き」に関わってない。リチャード・ライト(key)は途中で解雇されたため「ファイナル・カット」と「鬱」に関わってない。
ニックは地味なようで、本当は一番バンドに貢献してる人物なのかも。