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1969
Pink Floyd

ピンク・フロイドのアルバムの中でも最も地味で、あまり語られることのなかったアルバムであるが、それにしてはよくできた名盤で、曲数も多く、ハード・ロックあり、ブルースあり、民族音楽あり、フラメンコありと、さながらピンク・フロイドの奇抜な音楽作りの見本市といったところ。僕はこれはピンク・フロイドの作品としては「ザ・ウォール」以上に重要な1枚だと思っている。「神秘」同様、聴くほどに新しい発見があり、毎度驚かされるばかりだ。

ピンク・フロイドはエマーソン・レイク&パーマーイエスといった他の先進的ロック・バンドとは対照的に、一切電子的な印象がなく、いたってアナログ志向のバンドであることが魅力である。エフェクトといえばリヴァーブしか使わないし、基本的にギター、ベース、ドラム、オルガンの4ピースだけですべてを表現している。「Cirrus Minor」、「Main Theme」などはオーケストラを導入しているのかと疑ってしまうほどだが、よく聴けば楽器編成はいたってシンプルである。シンセサイザーのように聞こえるもやもやした音も実はその正体はスライドギターである。とくに驚かされるのは「Quicksilver」の濃厚なエフェクトだろう。壮大なる音世界が広がっているが、シンセサイザーも使わずに、リヴァーブだけでこれだけの音を表現してしまうのは驚異としか言えない。

バンド・アルバム・インデックス
Animals
Atom Heart Mother
Dark Side Of The Moon, The
Division Bell, The
Final Cut, The
Meddle
Momentary Lapes Of Reason, A
Obscured By Clouds
Piper At The Gates Dawn, The
Saucerful Of Secrets, A
Ummaguma
Wall, The
Wish You Were Here