アメリカではビーチ・ボーイズの作品の中でも失敗作と言われているものだが、日本での評価はかなり高く、これが一番良いという人も少なくない。全米チャートでは無惨の151位。これだけの大物バンドでも151位になるんだから、この業界は信じられん。
ブルース・ジョンストンはこれが一番のお気に入りだと語っていた。それもそのはず。このアルバムからブルース・ジョンストンは急に頭角を現してきたのだから。このアルバムの収録曲12曲(ビーチ・ボーイズは12曲というくくりがお好きなのです)のうち、「Deirdre」、「Tears In The Morning」、「At My Window」の実に3曲でブルースがリードボーカルを担当しており、3曲とも出来がよいのだから。
もっと驚くのはデニスの存在感だ。12曲中4曲はデニスの作であり、しかも他のどの収録曲よりもこの4曲が際だっている。ドラマーだからってバカにはできない。デニスが歌う「Forever」はアルバムハイライト。まったくもってこいつだけは侮れない野郎である。
「Add Some Music To Your Day」では、メンバー6人全員がリードボーカルを分け合っているが、この曲が象徴するように、このアルバムはよく「みんなで作った作品」と評される。いつも全面的に大活躍するマイクとカールだけに限らず、不安定なブライアン、不遇のデニス、目立たないアル、元部外者のブルースも含めて、メンバー6人が、ほぼ同等量の仕事をこなしたアルバムは、彼らのキャリアの中では前にも後にもこの1枚だけしかない。 |