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Friends
1968
The Beach Boys
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ビーチ・ボーイズの60年代後期からのアルバムは60年代前期のロックン・ロール、サーフィン、ホット・ロッド時代と比べると、ずいぶんと雰囲気が違う。60年代初期のスタイルをそのまま維持していたところで、ビーチ・ボーイズは世間から崇拝されるロック・バンドにはならなかっただろう。その大部分は「ペット・サウンズ」以降の作品に対しての敬意と考えてもいいだろう。
「ペット・サウンズ」はまだ一般人の耳にも聴けるとして、「スマイリー・スマイル」あたりはかなり難易度が高くなってきており、ロック・マニアでなければわからないような摩訶不思議な内容になってきた。そして「ワイルド・ハニー」を経て、この「フレンズ」。ビーチ・ボーイズもここまで変わってしまったのか・・・。この異様な雰囲気。どの曲も2分前後だが、のほほんとしたようで、どこか精神異常的でもある。異常とはいっても、ただぶちきれて狂ったように歌うといった類の音楽ではなく。この音楽は至って静かで、美しくもある。何を歌っているのか歌詞が読めないのでわからないが、きっとこれは非常に内省的な歌ではないかと、すぐに直感した。浮遊感漂う「Transcendental
Meditation」を聴いても、サイケデリック・バンドでも、これほど異常さを出したバンドはなかっただろう。かのビートルズでさえ、このような風変わりなアルバムは作らなかった。「Little
Bird」など何か胸に染みいるものがある。批評家はこれを「まさにロックのアート」と書いたが、まったく賛成である。ホット・ロッドのようなノリだけに任せた音楽を作っていたようなバンドが、このような難解の音楽を手がけたことに意義がある。もちろんメンバーの演奏も感情的で素晴らしい。ジョン・レノンの「ジョンの魂」と共に、いつまでも聴いていたいアルバムだ。 |
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