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Surf's Up
1971
The Beach Boys
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ビーチ・ボーイズといえば、デビュー当時のノリノリのロックン・ロール・アルバムか、歴史的アンセム「ペット・サウンズ」をベストにあげるのが普通だろうが、僕の場合一枚あげるなら「サーフズ・アップ」である。「ペット・サウンズ」のブライアン・ウィルソンの革新性と、前期ビーチ・ボーイズのビート感が見事に融合しており、メンバー全員が結束した、あくまでロック・バンドとしてのロック・アルバムになっている。
とにかく「Don't Go Near The Water」と「Long Promised Road」に電撃を打たれた。このサビのかっこよさ、繊細さは、狙っていても出せるものじゃない。とくに「Long
Promised Road」のサビはビートルズにも出せなかったものだ。カール・ウィルソンがビシッと決め込んでいる。
「Take A Load Off Your Feet」は雑貨屋で録音したかのような賑やかなロック。アルとブライアンのボーカル対決も楽しいが、そこら辺にある道具を片っ端から使って、色々な音を出しているところも面白い。
「Disney Girls」はとてもナイーブなバラード。ビーチ・ボーイズ十八番のハーモニーが美しいが、作曲とリード・ボーカルは<6人目のビーチ・ボーイ>と言われたブルース・ジョンストンによるものである。
カール・ウィルソン作曲ヴォーカルの「Feel Flows」は優れた名曲。単調なビートの繰り返しの上に、フルート・サックス・ギター・シンセサイザーなど、様々な楽器を取り入れてジャムっている。その楽器のほとんどはカールが演奏している。非常に実験的なサウンドである。
「Looking At Tommorow」はちょっと寂しげなフォーク・ロック。間奏でのアル・ジャーディンの鼻歌が効果をあげている。
「A Day In The Life Of A Tree」はビートルズの「サージェント・ペパー」への対抗か?映画のエンディング・テーマかと思うほど、はかなく、ノスタルジックなサウンドである。小鳥のさえずりや、オルガンのサウンドなど、ちょっぴり泣けてくる。ジャック・ライリー、ブライアン・ウィルソン、ヴァン・ダイク・パークスがヴォーカルを担当。
タイトル曲「Surf's Up」は「Good Vibrations」に匹敵する名曲。あまりにも美しすぎる。荒々しい息継ぎ音さえ心を揺さぶられる。とにかく何も言わずにこれは聴いてみるしかない!
全10曲、まるで非の打ち所のない傑作。完璧という形容がふさわしいロックの名盤だ。 |
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