ディープ・パープルは、常に「ロックは演奏で決まる」ということを誰よりも教えてくれるバンドだ。リッチーのギター、ジョンのオルガン、イアンのドラムはただただ素晴らしい。楽器にはエフェクトはほとんどかかっていない。メロディだけでも十分に訴えるものがある。パープルはとてもかっこいいが、ローリング・ストーンズのようなノリとかグルーヴのかっこよさとはまた違い、ピンク・フロイドのような音響とかセンスのかっこよさともまた違う。楽器自体のフォルムのかっこよさとでも言おう。実にドラマティックな様式美を持つバンドだ。その意味では第1期と第2期に相違点は何もないと思うし、演奏集団としてはナンバー1だと思う。

「Highway Star」
第2期ディープ・パープルが最もノリに乗っていた頃の曲。タイトル名に恥じないアップテンポの曲。これだけヘヴィで疾走感にあふれる曲でありながらも、間奏はクラシカルという型破りな構成だ。

「Hush」
ファーストアルバムから代々受け継がれ、ディープ・パープルのテーマ曲になった感もある名曲。重厚にして爽快。サイケにしてハード。全楽器パートがキラリと光る。この歌の気持ちよさは聴いてみなければわからない。

「Child In Time」
第1期ディープ・パープルの流れをくみつつ、第2期としての存在感をアピールしたドラマティックな大作。インプロヴィゼーション的な奏法を聴かせる。

「Speed King」
アルバムのオープニングにいきなりズカンとくる曲。それまでのディープ・パープルのイメージを完全に塗り替えてしまった。リッチーのギターが叫び、イアンのシャウトも血管がぶちきれそうなくらい熱い。ここにヘヴィメタル・サウンドは誕生した。

「Wring That Neck」
インストゥルメンタルだが、このグルーヴ感はタダモノじゃない。ジョン・ロードのオルガンとリッチー・ブラックモアのギターの相乗効果は抜群だ。ディープ・パープルはやっぱりかっこいい。
「Space Truckin'」
リフも素晴らしいし、ボーカルもいたってシンプルかつパワフル。ギターもベースもドラムもキーボードもボーカルもどこを聴いてもかっこいい5人編成ならではの名曲。なにか悟りの境地を開いたかのような鬼気迫るものがある。
「Mandrake Root」
かなりヘヴィな曲だ。最初から最後まで計算されたような構成であるが、あくまでインプロヴィゼーションっぽく演奏している。特にイアン・ペイスのドラムが良い。第1期の音楽センスは最も群を抜く。第2期にもこのセンスは受け継がれている。
「April」
ディープ・パープルがずっとこだわり続けていた「ロックとクラシックの融合」をついに実現させた革命的な1曲。ただただリッチーのギターに惚れ惚れさせる。これに自信をつけたメンバーたちはこの後本格的な協奏曲「Concerto for Group and Orchestra」を完成させる。
「Burn」
いよいよ第3期ディープ・パープルが始動。この1曲目は成功だった。第2期とは違うスタイリッシュなかっこよさがある。ジョン・ロードのキーボードはいかにもパープルらしいが、ボーカルの発声法など、ヘヴィメタルのお手本となる要素がいっぱい。
「Hey Joe」
ディープ・パープル流の重厚な行進曲。リッチー・ブラックモアのギターがやたらとドラマティックで渋いが、ジョン・ロードの荘厳かつ華麗なオルガンさばきにも注目。素晴らしすぎる。第1期はあまりにも過小評価されている。
「Chasing Shadows」
曲が始まるなりいきなり引き込まれてしまう興味深いサウンド。とにかくこれはリズム感がすごい。パーカッションが気持ちいいが、リッチーとジョンのソロパートもさすがはパープルだとうならせる。
「Pictures Of Home」
シンプルなリフの上に、メンバー全員のソロ演奏を次々とフィーチャー。やっぱりディープ・パープルは演奏家集団。自己紹介も兼ねた曲で、日本公演では一発目に演奏した。
「You Keep On Moving」
ディープ・パープルの葬送曲。第1期を彷彿とさせる重厚さと渋さがある。ずいぶんとメンバーは変わってしまったが、この曲を最後にバンドは一度解散してしまう。
「Strange Kind of Woman」
第2期ディープ・パープルらしい洗練されたノリのある曲だ。パープルの曲はどれもすぐにパープルだとわかるパープル感があるが、これはまさにそう。レインボーやホワイトスネイクとは明らかに違う。
「Woman from Tokyo」
これもいかにも第2期ディープ・パープルらしい曲だが、第2期最後のアルバムの曲とあって、雑さが消えて、スタイルだけが残った印象を受ける。静と動をうまく使い分けたポップ・チューンだ。