メロディではなく、楽器そのものの織りなす音色を尊重し、繰り返されるフレーズの上に、メンバー各自のソロ・プレイをフィーチャーさせるのがその主な特徴で、ヴォーカル、キーボード、ギター、ベース、ドラムの5編成はもはや彼らの鉄則。メンバー全員が揃ってこそのディープ・パープルであって、それぞれが平等の立場に立ち、第一に「演奏」を聴かせるためのバンドとして成立している。その最たる例はイアン・ギランを含む第二期メンバーによる布陣で、彼らの個性豊かなインプロヴィゼーションがたっぷりと堪能できる「Live
In Japan」は、最後まで凄まじい気迫で一気に畳みかけ、最も理想的なロック器楽の表現法を体現したとして、高く評価されている。とりわけ、スタープレイヤーのリッチー・ブラックモアによる、カリスマを感じさせるギター・ソロは、数多くの信者を生む結果となった。
ディープ・パープルのもうひとつの魅力は、多分にクラシック音楽を意識した作風にある。それはプログレとはまったく異質のもの。あくまでロックの中にクラシック本来の持ち味をそのまま導入したところに彼らの意地があり、クラシックとロックを混合させた時に生じる化学反応を大いに楽しませてくれる。ジョン・ロードが、そのほとんどのアイデアを考えているが、第一期の頃にはベートーヴェンやリヒャルト・シュトラウスをまるで自作ナンバーであるかのように我が物にしており、ハード・ロックとかヘヴィ・メタルとか騒ぐよりも、それ以前に彼らは最もクラシック音楽に近いロック・バンドであったことを認識すべきであろう。「Concerto
for Group and Orchestra」ではロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラとの共演も実現しており、クラシックでもあり、かつハード・ロックでもある重厚な音楽構成には度肝を抜かれるばかりだ。
Shades Of Deep Purple (68)
The Book Of Taliesyn (69) Deep Purple (69) Concerto for Group and
Orchestra (70)
Deep Purple In Rock (70)
Fireball (71) Machine Head (72)
Who Do We Think Are (73)
Burn (74)
Stormbringer (74)
Come Taste The Band (75)
Perfect Strangers (84)
The House Of Blue Light (86)
Slaves And Masters (90)
The Battle Rage On (93)
Purpendicular (96)
Abandon (98)
Bananas (03)
Rapture Of The Deep (05)
【Live Album】※抜粋 Live In Japan (72)
Nobody's Perfect (88)
Come Hell Or High Master (94)