ロジャー・ウォーターズのピンク・フロイド復帰は、ファンがどれだけ熱望しただろうか。
3人になったピンク・フロイドよりも、1人だけ離れたロジャー・ウォーターズが優れたアルバムを発表していた事実は否めなかった。もしロジャーが再びピンク・フロイドに復帰すれば、経済効果も抜群だと、どこかの本に書いてあったのを読んだことがある。ロジャー復帰説は、前々から噂されていたことだが、とうとう事実が明るみになった。先日、ネットのニュースや新聞の夕刊にも割と大きくとりあげられていた。僕自身も、ピンク・フロイドが最も好きなロック・バンドなので、このニュースを見たときには、仕事のことを忘れて狂喜乱舞したものである。
ピンク・フロイドの黄金期メンバーの復活は、2005年7月2日に開催されるボブ・ゲルドフが主催する「ライヴ・エイト」にて約25年ぶりに現実のもとなる。「ライヴ・エイト」にはポール・マッカートニーやコールドプレイの出演も決定しているが、ピンク・フロイドが最大の注目バンドとなることは間違いないだろう。「コンフォタブリー・ナム」で久しぶりにロジャーとデイヴのデュエットも聴けそうだ。
メンバーの和解については「俺たちの確執なんて、難民の苦労に比べれば小さなものだった」「ロジャーが復帰すれば難民救済にも大きく貢献できる」とコメントしているが、「復活はありえない」と言われながらも、みんなが長年期待していたことなので、この実現は嬉しい。
最近クリームやら、かつての往年のバンドの復活が目立ったが、そこにとうとうピンク・フロイドが続いたわけである。僕の友達は、ピンク・フロイド復帰について、こう分析した。「ちょうど今ぐらいの年齢にもなると、メンバー間の古い確執なんて、忘れられるようになるのだろう」。まったく同感である。メンバーの平均年齢は60歳を過ぎているが、このまま4人でニュー・アルバムを作ってもらいたいものだ。もしかしたらすでに作っているのかもしれない。ピンク・フロイドが今まで出したアルバムに失敗作は1つもないし、10年前にもすごい傑作を作っている彼らなので、ニュー・アルバムを出したところで駄作になることはまずないだろう。
あまりにも嬉しいことなので、今回は僕が選ぶピンク・フロイドのアルバム・ランキングと、ソング・ランキングをドドーンと総力特集しよう!(2005/6/14)

「狂気」
コンセプト、構成など、限りなく完璧なアルバム。1音1音の音の響きに鳥肌が立つ。ピンク・フロイド・サウンドの集大成!

「ウマグマ」
何度も何度も聴いたアルバム。二枚組。代表曲のライブを収めた1枚目はアナログ楽器の演奏の最高峰だと思う。二枚目の実験的な音楽感覚も素晴らしい。4人全員が主役に立つアルバム。

「おせっかい」
ファンの間では最も人気の高いアルバム。1曲目のベース音もすごいが、ハイライトは24分間の大作「エコーズ」である。音楽の可能性を超越しちゃってます。
「夜明けの口笛吹き」
「星空のドライブ」を除けば、ほぼシド・バレットが完全な主導権を握ったファースト・アルバム。サイケデリックなサウンドセンス、かきならすギターなど、シドはやはりメンバー最高の天才だと実感。「天の支配」など、ただならぬ音世界が広がる。
「ザ・ウォール・ライブ・アールズ・コート」
世界で最も売れた二枚組アルバムの完全ライブ盤。ライブでアルバム全部まるごと演奏してしまうところが、いかにもコンセプト志向のロジャーらしい。出来栄えはスタジオ盤の3倍は良く、緊張感と熱気に満ち、演劇的で、こちらこそ真の「ザ・ウォール」ともいうべき内容だ。
「死滅遊戯」(ロジャー・ウォーターズ)
ロジャーの作品だが、ピンク・フロイドのアルバムを凌駕する出来栄え。かつてピンク・フロイドに誘われたジェフ・ベックのギターの残響音に感動しまくり。音響のふくらみには感動で涙が。ゆえにロジャーの復帰ニュースは感慨深い。
「神秘」
ピンク・フロイドのメンバー5人が全員参加しているたった1枚のアルバム。タイトル曲の演奏技法が凄まじい。ピンク・フロイドはとにかく音響の天才である。
「炎」
僕がピンク・フロイドを好きになるきっかけとなった1枚。デイヴ・ギルモアのギター三昧。ギター・ファンなら必ずや涙するだろう。ロイ・ハーパーが歌う「葉巻はいかが」も傑作。
「モア」
バラエティ豊かな構成。1曲1曲が短いが、とにかく音の宝庫。ギターやベースでこんな音が作れてしまうのか!という感動があった。
「鬱」
デイヴ・ギルモアのソロ作品をピンク・フロイドとして発表。ロジャーがいないため、ピンク・フロイドらしからぬ作品であるが、かつてのピンク・フロイドのエッセンスが見え隠れする力作。最初の水音に感動!
「原子心母」
タイトル曲は、オーケストラを導入しているためか、ギターやベースに面白味がない。ただし「アランのサイケデリック・ブレックファスト」の演奏、効果音、音響は史上ベストの美しさ。
「アニマルズ」
ロジャーがイニシャチブをとった哲学的なアルバム。ギターを擦ったりして、楽器で犬や豚や羊の鳴き声を真似ているところが凄い。
「雲の影」
割とサクッと作った印象を受けるが、それなのにこの完成度はただものじゃない。「モア」同様、音の宝庫。アナログ楽器の魅力たっぷり。隠れた名盤である。「Childhood's End」は名曲。
「対」
今のところピンク・フロイドの最新作。少しも衰えを感じさせない出来栄え。デイヴ・ギルモアのギターが美しく、僕が音楽を聴いていて感動で泣きそうになった最初のアルバムである。94年作。
「ファイナル・カット」
立体音響システムで録音。ロジャー・ウォーターズのソロ作品をピンク・フロイド名義で出したような作品。「ザ・ウォール」の続編的位置づけ。ドラマティックで物静かなアルバムである。

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